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コンニャクは地元の財産 農業で地域を活性化させたい

掲載日: 2022.12.1

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もみじ農園 こんにゃく工房
端 修吾・信子(はし しゅうご・のぶこ)さん(東近江市在住)

東近江市永源寺地区でコンニャク芋栽培とコンニャク製造・販売を行っている端修吾・信子さん夫妻。
永源寺の開祖が鎌倉末期、中国からコンニャク芋の種を持ち帰り精進料理に用いたのが始まりと伝わる永源寺コンニャク。
端夫妻は30年ほど前からコンニャク芋栽培とコンニャク製造・販売を始め、7年前からは獣害に強いショウガの栽培も始めたが、そこには若い人を地元に呼び戻すための努力と願いが込められている。

コンニャク畑が見当たらない

薪を燃やして釜茹でする

バタ練機

永源寺コンニャクが地域ブランドとして知られるようになったのは戦後のことで、それまでは地域の農家が自家用で作ったり寺の精進料理として食べられたりするに過ぎなかった。この地区に代々住み続けている修吾さんも「コンニャク畑」を見た記憶がないという。
県立八幡商業高校を卒業後、地方銀行に就職。31歳の時信子さんと結婚し4人の子宝に恵まれたが、修吾さんは常々「コンニャクは永源寺名物になったがコンニャク芋の栽培はあまり聞いたことがない。いずれ会社を辞めたら芋づくりに挑戦しようか」と思っていた。
39歳のとき、銀行勤めをしながら休日にはコンニャク芋の栽培を信子さんと始めた。栽培経験のなかった二人にとって、風に弱く病気にかかりやすいコンニャク芋の栽培は苦労の連続だった。夏場の消毒剤散布や冬場の温度管理、種芋の選別など想像していた以上に大変な作業だった。

銀行員から転身

ショウガ畑

このままサラリーマンを続けるか、収入の安定しない農業にシフトするか悩んだ時期もあった。
そんなある時、コンニャク芋生産量全国一を誇る群馬県に行けばヒントが見つかるのではないかとひらめき、家族旅行を兼ねて車で出かけた。運も味方した。群馬一のコンニャク芋生産農家の人と偶然出会うことができ、栽培方法から加工技術まで丁寧に教えてもらうことができた。
2010年、修吾さんは早期退職に踏み切り、本格的にコンニャク芋の生産にとりかかった。56歳だった。
「家内の理解と応援がなければ決断できなかった」と当時を振り返る。
コンニャク芋は種芋を植えてからできるまで3年かかる。春植えて秋掘り起こし、掘り起こした芋を乾燥させてまた植えるといった作業を繰り返す。
コンニャク製造は主に信子さんが担当するが、コンニャク芋を湯がいたあと皮をむき、水を加え空気を含ませながらバタバタ練る昔ながらの「バタ練り」という製法で練り上げ、型に詰めたあと薪で釜茹でして水で冷ますとできあがる。
手間暇かけて作ったコンニャクは独特の風味と歯ごたえがあり、東近江市のふるさと納税返礼品の一つにもなっている。

地域活性化のために

3年経ち収穫したコンニャク芋

商品化された各種コンニャクや自家製田楽味噌

端さんは現在、40アール(4000㎡)の畑で年間10tほどのコンニャク芋を栽培し、7年前からはショウガを永源寺の特産品にしようと60アールの畑で栽培している。一方、農事組合法人 永源寺相谷ファームの理事長として、地域の農業活性化や新しい農村政策の在り方などについてメンバーと協議を重ねながら、若者の農業離れをなんとかくいとめようと知恵を絞っている。
修吾さんはショウガに続く作物を思案中と話し、信子さんは「いずれ自宅を改装して、古民家レストランとして再開したいです」と、以前開いていたコンニャク料理店の再開を計画している。
(取材・髙山)

●お問い合わせ
もみじ農園 こんにゃく工房
滋賀県東近江市永源寺相谷町1185
TEL:0748-27-0713

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