吹きガラス作家
神永 朱美(かみなが あけみ)さん(大津市在住・41歳)
琵琶湖の水草を利用して誕生した吹きガラス「琵琶湖彩(びわこいろ)」。神永朱美さんが乾燥水草を燃やした灰を材料に混ぜて作った商品の総称名で、淡いグリーンやブルーの色合いからは日々変わる琵琶湖のイメージが漂ってくる。水環境保全に係る優れた商品として、昨年「第1回 ビワコプロダクツ」に選ばれた。
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琵琶湖の水草を利用して誕生した吹きガラス「琵琶湖彩(びわこいろ)」。神永朱美さんが乾燥水草を燃やした灰を材料に混ぜて作った商品の総称名で、淡いグリーンやブルーの色合いからは日々変わる琵琶湖のイメージが漂ってくる。水環境保全に係る優れた商品として、昨年「第1回 ビワコプロダクツ」に選ばれた。
学生時代を釧路で過ごし北海道の景色や大自然に魅了されたと話す、茨城県出身の神永さん。「北海道でもう少し暮らしたい」という思いから就職活動を道内の企業に決め、小樽市にある「北一硝子」に2004年入社した。商品開発や店舗ディスプレイ、接客など一通りのことを経験しガラスの美しさに惹き込まれていった。しかし新人教育や管理の仕事が多くなり、製造現場との関わりは遠のいていった。神永さんは改めて「作る」ことはしていなかったことに気づき、次第に職業として作り手の道を志すようになっていった。
5年勤めた後小樽市内のガラス工房に転職、そこで京都在住のガラス作家伊藤泰三氏と縁ができ2年後師の元に弟子入りした。最初は作業の合間に箸置きやアクセサリー作りを手伝い、「吹き」の技法はアシスタントをしながら見て覚え、併せて工房を回していくことも学んだ。
2016年大阪高島屋食器売り場の一角を使った個展の依頼が舞い込み、吹きガラス作家としてデビューを果たした。更に翌年には独立して大津市内に工房を構えた。
見知らぬ土地での起業は不安だったが、工房の大家さんから多くのアイデアや制作依頼を頂いたり、地域の人たちが皆優しくしてくれたりして本当にありがたかったと、当時を振り返る。
「恩返しに地域の材料を使って皆さんに喜んでもらえるものを作ろう」と思った神永さんは、琵琶湖で水草が増えすぎて刈り取っているという話を思い出した。琵琶湖の水草を乾燥させ肥料に加工している会社を訪ね社長に自分の思いを伝えると、快く分けてくれた。
乾燥水草をそのままガラスの原料に混ぜて試験してみると淡いグリーンの色は出たが、貝や小枝などの異物が混じっていて失敗の連続だった。試行錯誤を繰り返すこと約1年、「琵琶湖彩」の吹きガラスがついに完成した。材料の配分や技法を変えることで、昨年淡いブルーの琵琶湖彩も完成。安定して同じ色を出すのは難しくそれぞれ微妙に色合いが異なるが、「お客さまは皆さん『琵琶湖は毎日、時間帯によっても色が違うからね』と優しく話してくれます。琵琶湖は滋賀県の方にとても愛されていますね」
水質保全における優れた技術やコンセプトをもった製品・サービスを選定する、県が主催するプロジェクト「ビワコプロダクツ」に昨年琵琶湖彩を応募して選ばれた。ガラスの持つ色合いや雰囲気から、使い手が美しい琵琶湖を大切にしたいという気持ちにつながれば嬉しい、という思いで作った商品だ。「琵琶湖彩」で使用している原料は一部の陶芸家や染色家なども使用しているという。
「もっと色々な分野に広がってほしいです。環境活動をしようと思って作り始めたのでなく、きれいなガラスを作りたい一心で作りました。自分の作りたい作品でなく目の前のお客さまと触れ合って喜んでいただけるような商品を作り続けていきたいです」
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●お問い合わせ
滋賀県大津市北大路3-2-12
glass imeca.
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