橋に魅せられて
玩具で巨大吊り橋制作
瀬田城城主 末裔
山岡 影光(やまおか かげみつ)さん(大津市在住・55歳)
兵庫県神戸市と淡路市を結ぶ世界最大級の吊り橋「明石海峡大橋」(全長3911m)。山岡影光さんは構想から約5年の歳月をかけて150分の1サイズ、長さ26mの明石海峡大橋の模型を昨年5月完成させた。
京都へ通じる軍事・交通の要衝として古くから知られた瀬田の唐橋の管理を織田信長から任されていたという、瀬田城主山岡景隆から数えて二十代目に当たる山岡さんにとって「橋」は物心つくころから特別な存在だった。
日ごろの興味を形に
約5万個のパーツを使って組み立てられた
明石海峡大橋
幼いころから手先が器用で、レゴブロックで遊んだりプラモデルを組み立てたりするのが好きだったという山岡さん。将来は土木工学を学んで橋梁建築の世界に入りたいと思ったこともあったが、家庭の事情で断念せざるを得なかった。
父親になり二人の幼い娘におもちゃをプレゼントするためトイザらスに連れていったとき、ふと目に留まったのが組み立て玩具「ケネックス」というプラスチック製のブロックだった。日ごろから興味のあることを何か形にしたいと思っていた山岡さんは「橋の構造物に似ていて“何かできそう”」とひらめき、自分用に購入し1週間ほどで2mの吊り橋を仕上げた。
吊り橋に電車を走らせたい
線路が伸縮する装置を考案
高価なブロックなので橋は作っては壊しの連続だったが、あるとき”吊り橋にプラレールを走らせてみよう”と思い、20種類2万ピースを使って全長約10mの吊り橋を作り貨物列車を走らせてみると想像以上に楽しかった。発見した「面白さ」を一人で楽しむのはもったいないと記録や保存のためYou Tubeにアップすると、再生回数33万回を超える人気となった。手応えを感じた山岡さんは、5年後更に22mの吊り橋を作りアップすると160万回を超えた。
ケネックスは現在新品の入手が難しく、ネットオークションなどを利用してパーツを集めているが思うように揃わないのが難点だという。
”Nゲージ”で走らせて
You Tubeの視聴者からある日、Nゲージ(本物の車両の150分の1)で電車を走らせて欲しいというコメントが寄せられた。山岡さんは当初新幹線も通す計画があったという幻の明石海峡大橋を模型で実現させたいと思った。鉄道愛好家でつくるサークル「守山鉄道同好会」(会長・津田隆氏)のメンバーに構想を持ちかけると、全面的に同会が協力してくれることになった。
プラレールではトラブルなく走ったが、線路のゆがみや車両の重さによる橋脚のたわみ、レールが長すぎて電圧が低下し電車が走らないなど、克服しなければならない問題点がいろいろでてきた。香川県坂出市にある瀬戸大橋記念館に出向き、展示されている模型を参考にしたこともあった。アプローチを含めると45mにもなる巨大模型を組み立てる場所の確保も大きな課題となったが、同会が鉄道模型を常設している「ロイヤルホームセンター守山」2階の空きスペースが使えたこともありがたかった。
2022年5月、明石海峡大橋は完成し報道陣らに公開されたが、「夢の風景実現」「明石大橋 新幹線走った!」などの見出しが踊り、大きな反響を呼んだ。「明石海峡大橋のギネス登録と、You Tubeで登録者数10万人が目標」と話す山岡さんは今、新たな企画に挑戦している。
(取材・髙山)
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