びわ湖ホール舞台技術課 小野隆浩さん
びわ湖ホール舞台技術課の小野隆浩(おのたかひろ)さんを紹介します。
びわ湖ホールのオープンに伴い、大津にこられた小野さん。
自らが称しておられる”音響デザイナー”というお仕事とは・・・。
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びわ湖ホール舞台技術課の小野隆浩(おのたかひろ)さんを紹介します。
びわ湖ホールのオープンに伴い、大津にこられた小野さん。
自らが称しておられる”音響デザイナー”というお仕事とは・・・。
小野さんの音への興味は、早くも中学生のとき。「好きだったから」始めたという音の仕事が今も続いているなんて、まさに音響一筋のプロ!バンドなどのお手伝いからはじまり、高校の途中からはアルバイト、卒業と同時に東京に就職。チューリップや五輪真弓、杉田二郎等のツアーコンサートを中心に音の仕事をしておられたという。
転機は、1985年。当時働いていた会社から、ウィーン国立歌劇場日本公演に携わることになり、初めてオペラを体感する。同時に、今まで知らなかった音響の世界-「アプローチの仕方が全然違って、機械以外で生の音を届かせる、劇場の響きを変える、そういったやり方」を知られたそうです。
「一般的に知られている音響は、マイクやスピーカなどの機械を調整したりすることですが、音響デザイナーというのは、例えば、ピアノの位置を変えたり、大道具の素材や演奏者の位置を変えたりすることによって、舞台の音を整える仕事です。曲を美しく聞かせるためには、それぞれにあった空間が必要です。音と響きをうまくコントロールして、その空間を整えているのです。」
ステージの隅にある黒い反射板を指して、中身は安くて軽いたたみだと教えてくださいました。反射板ひとつとっても、試行錯誤の結果が現れています。
さらに音響デザイナーに必要なものをいくつか答えてくださいました。
『音から感じるものが多く、それを表現できる。(暖かい音、黄色い音など)』
『譜面は読めなくても、それを模様として読み取れる感覚を持つ』
『音の引き出しをたくさん持っていて、演奏者の求めている音を察して出すことができる』
かなり独特の感性が必要とされるようです。
演奏者の方が小野さんを表現するとき、「こういう音を出して欲しいと選択すると、これっというものがでてくる”自動販売機”のようだ」とよく言われるそう。
小野さんにとって、このお仕事の魅力はやはり、「お客様が喜んでくれること。楽しんでくれること。」そして、作る過程が楽しいとおっしゃいます。音響の仕事は、舞台がうまくいっているときほどその存在がわからない。お客さんが「変だな」と思ったときが失敗だそう。失敗したことはたくさんあるけれど、済んだことは忘れて、ポジティブに進んでおられます。
このお仕事をしていて、今までで一番嬉しかったことをお聞きしました。びわ湖ホールのオープニング公演で、不安をかかえながら準備していた小野さん。そのとき、イタリアのボローニャ歌劇場のミレイユ・フレーニーさんに、「この劇場をイタリアに持って帰りたい」と言われた言葉。別の公演では、小澤征爾さんに「ここはいいよ」といわれた言葉。目に見えない仕事だけに、そんな演奏者からいただく言葉がうれしいとおっしゃいます。
「舞台芸術とは、やっているひとと体感する人が一体になれること。たくさんのお客さんに来てもらえるよう、いい本番を続けていきたい。」と今後の意気込みを語ってもらいました。
最後に、滋賀ガイドを見てくださった方にメッセージをお願いします。
「劇場には劇場に来ないとわからない、観客全員が息を飲むような、ぞくっとした瞬間があります。劇場で生の舞台芸術を体感してください。」
今後のご活躍と、お客さんの体の芯まで伝わるような、素敵な音を期待します!
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