碧水ホール学芸員 上村秀裕さん
今回の素敵な人は、水口町にある“碧水ホール”で、公演・イベントの企画・広報業務などのお仕事をされている、学芸員の『上村秀裕さん』をご紹介させていただきます。
◆碧水ホールはアートの多目的ホールです。
『碧水ホールのメインスペースは、座席が電動で収納される仕組みになっている 336 席の、多目的ホールです。主催イベントでは、日本を含むアジアやアフリカなどの 非 西洋圏の音楽を紹介するコンサートを続けています。映画館では見ることができない旧い映画やマイナーな映画などの特集上映もウリです。また、ロビーも工夫次第で イ ベントや展示ができるようにしています。碧水ホールが主催する他、貸し館といって、会場を他の主催者が借りて手掛けられるイベントもたくさん行われています。』
神秘的な音楽を作り出すガムランという打楽器群
『ガムランって、知ってますか?
ガムランは、インドネシア代表する国際的な楽器ですが、日本では、おもに音楽大学や博物館などが所有しているぐらいで、しかも全国で40セット程しかないと言われています。神秘的な音をかもし出すガムランという楽器を、碧水ホールは2002年に購入しました。20名編成が可能なフルセットで、国内最大級と言われています。
2001年9月に、大阪市立大学大学院教授の中川真さんが率いるガムラングループの”マルガサリ”に楽舞劇の公演をしていただきました。以来、毎年ガムランの演奏会を開催しています。また、中川教授の企画監修のもと、碧水ホールでも、ガムランを演奏するグループが結成されました。グループ名は”ティルト クンチョノ”といいま す。 ジャワ語で”きらめく水”という意味です。所有する楽器も”ティルト クンチョノ” と 名付けられました。命名したのはインドネシアにいる音楽家のパニョトさんで、来日され碧水ホールにしばらく指導に来られた時に付けてもらいました。』
ガムランは初心者OK!
『ガムランは金色と、鮮やかな緑・赤といったアジアンテイストたっぷりな色彩と 同 様、なんとも表現しがたい音空間を作り出します。でも、演奏は初心者でも簡単に参 加 できるパートがあって、地域の子供から大人まで一緒に楽しんでいただいてます。 西 洋音楽のオーケストラは初心者ではいきなり参加できませんが、ガムランは、すぐ に でもハマれる。また、これから体験する人が増えてくる楽器ですから、子供も大人 も スタート・ラインは同じ。一方で、いろんな音楽を経験してきた人が辿り着くジャ ン ルでもある。先端的な現代音楽家達もガムランの虜になり、ガムランのための新曲 も 生まれています。そういう間口の広さがガムランの良さでもあります。それに聴い て いて気持ちいいし、音色が、なんだか体にも良さそうでしょ?(と楽器の音を出し て いる)』
打ち上げは大事です
『ガムランをはじめ、アジアやアフリカといった非西洋の音楽の企画や、映画の上映企画は、14年間続けてきた人脈の賜物ですが、実はイベントが終わってみんなで参加する“打ち上げ”での情報収集が大事なのですよ。この打ち上げでイベントされた方々や、裏方の方々から、いろんなお話や情報が飛び出してきて、おもしろい企画のきっ かけが生まれることがあります。碧水ホールは早くからボランティアスタッフ制度を設けてきましたが、打ち上げのあるイベントは、出席率が高い(笑)。最後は出演者スタッフ一同の集合写真なども必ず撮りますね。よい記録であり、思い出になります。
どのイベントも心に残っています。
『チケットが発売開始3時間で売り切れになったり、会場が満員なるなど、お客さ んがたくさん入ったイベントはもちろん思い出されます。
でも、たとえお客さんが少なくても、良い後味を残してくれる印象深いイベントもあ ります。たとえば、スイスから来日したジャズトリオのライブがそうでした。お客さんが40人ぐらいしかいなかったんですが、強烈な即興演奏で、聴衆を圧倒しました。また、タイのミュージシャンのライブが開かれたことがありました。 貸 し館で某ギャラリーの方が主催者でしたが、聴衆はたったの4人。うち知り合いが2 人 (笑)。碧水ホールでの最低観客動員記録です。でも、やっぱりプロなんですよ。4人しかいないなんて、すごくやりにくいと思うんですが、彼はイヤな顔一つしないで演奏した。4人であろうが、1000人であろうが、彼には関係なく、同じように観客に向き合っていたんでしょう。その立居振舞がとても素晴らしく、今でも印象に残ってますね。
趣味は中古レコード漁り
『中古レコード巡りはずっと好きですね。結婚を期に引っ越しして、ほとんどのLP レ コードは実家に置いてきましたが、30枚ほど限定で新居に持ち込んだ。小型のポー タ ブル・プレイヤーも新しく買いました。LPは大きくて邪魔だけど、あのジャケット の でかさが良いですね。ジャニス・ジョプリンのLPジャケットを部屋に飾って、毎日拝 んでます(笑)。
以前、ロックLPジャケット展を開催したことがあって、お気に入りのロックLP一枚 を持ち寄って、一人一人コメントをしてもらうという座談会を最終日にやったんですが、これが濃い人達が集まった(笑)。お気に入りのLPを他人にたらたら語る機会なんてそうそうないじゃあないですか。だから、集まった人たちは、日頃の抑圧された思いを爆発させて、熱く語ってくださいました。もちろん、私も一枚もって参加しました。 レコードはどんどん劣化していくけれど、CDには聴こえない音がたっぷり含まれていると言われていますね。そういう目に見えないところもレコードの魅力かな。』
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