鍛冶職人 青山裕次さん
青山裕次さん(あおやまゆうじ)
今回の素敵な人は、高島市マキノ町の鍛冶職人・青山裕次さん(46歳)。4月末、鍛冶界の第一人者であるアルフレッド・ハーバーマン氏がオーストリアから来日し、青山さんの工房に滞在した。共同でモニュメントを製作するなど、話題で賑わう工房に伺った。
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青山裕次さん(あおやまゆうじ)
今回の素敵な人は、高島市マキノ町の鍛冶職人・青山裕次さん(46歳)。4月末、鍛冶界の第一人者であるアルフレッド・ハーバーマン氏がオーストリアから来日し、青山さんの工房に滞在した。共同でモニュメントを製作するなど、話題で賑わう工房に伺った。
鍛冶は日本刀などの「美術工芸品」、料理人の包丁といった「職人の道具」、フェンス・門扉といった「建築金物」など、目的によって専門が分かれる。青山さんは「建築金物」を扱う職人として、また装飾品やオブジェなども手がける鉄の工芸作家として活躍している。
先月末には「鍛冶の世界大会」が開催されたオーストリアのイブジッツ村へ、日本の鍛冶職人たちを案内するなど日本とオーストリアの交流に一役買っている。
青山さんが鍛冶職人になろうと決意したのは8年前のこと。それまで大手放送局でディレクターをしていたが「仕事を通じて知り合った職人たちの生き生きした表情に触れるたびに、自分も一生続けられる仕事がしたい!」と、脱サラを決意した。子供のころによく聴いた童謡「村の鍛冶屋」から、鍛冶職人がひらめいたという。東京の専門学校で「鍛造(鉄を叩いて成型すること)」を学ぶうち、「自分には鍛冶しかない!」とあらためて確信するようになった。埼玉県での3年半の修業を経て、2002年春に小さいころからなじみ深かったマキノ町に工房を構えた。
独立後も鍛冶の腕を磨くために何度もヨーロッパへ足を運び、2003年にはオーストリアのイブジッツ村まで出かけた。ここは古くから製鉄と鍛冶で栄えた歴史を持ち、ヨーロッパ中の鍛冶職人が憧れる場所。ここで「鍛冶のローマ法王」と呼ばれるアルフレッド・ハーバーマン氏との面会を果たした。その後も親交を深め、今回の氏の来日にも大きく貢献した。2人が日本とオーストリアの友好を願って制作したモニュメントは、全国から鍛冶職人たちが見学に来たというほど話題になった。
青山さんは今月2月に高島市安曇川町に建設された交流施設「たいさんじ風花の丘」の手すりを製作した。愛着と温かみのある建物にしようと、地元の小学生たち50人と一緒に3日間かけて取り組んだという。「この体験を通して、一人でも多くの子どもたちが鍛冶に興味をもってくれたらうれしい」と期待している。また「大量生産とは違う、手作りの温かみと本物の良さを知ってほしい」とも語る。
日本でも欧風住宅が増加し建築金物の需要は高まりつつあるが、技術面ではまだまだヨーロッパに及ばない。今後はヨーロッパのようにチームを組んで作業をすることが夢とのこと。ますますのご活躍を期待したい。
(取材・澤井)
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