NPO法人「やまんばの会」の皆さん(米原市)
米原市日光寺周辺で里山の保全活動を行っているNPO法人「やまんばの会」の皆さんが、今回の素敵な人。里山で、理事長の大林文彦さんにお話を伺った。
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木材や燃料、そして肥料を供給する森は里山と呼ばれ、古くから人々の暮らしと深くかかわってきた。「やまんばの会」は里山の保全を目的として、00(平成12)年からさまざまな活動を展開してきた。米原市で15㌶もの山を借りて「やまんばの森」と名づけ、活動拠点としている。
まず会が発足したきっかけをお聞きした。「私が子どものころは、森の中に光が差し込んでいて、明るくて子どもだけでも安心して遊べました。ところが、里山周辺でもガスや石油が家庭用燃料の主流になり、65(昭和40)年ごろから様子は一変しました」と大林さん。人の手が入らなくなった里山には木々がうっそうとしげり、荒れていく一方。山が荒れれば雨水がそのまま河川に流れ込み、琵琶湖の水質悪化にもつながる。危機感を抱いた大林さんたち地域の人たちが「里山を元の姿に戻そう」と立ち上がった。
主な取り組みは、次の四つ。一つ目は不要な枝を切ったり落ち葉を拾って里山の手入れをすること。天然林、人工林など、それぞれの植生と目的に応じて手入れの方法を変える。しかし伐採するだけでは里山の保全にはつながらない。さらに二つ目の取り組みとして切り出した木や落ち葉をまきストーブやパン釜などの燃料にしたり、カブトムシの寝床やクラフトの材料にしたりと、資源としての利用に力を入れている。三つ目は希少種が育つ環境づくりに積極的に取り組むこと。手入れの行き届いた里山には豊かな動植物が生息する。活動を始めて3年目には、絶滅が危惧されているギフチョウが現れた。四つ目はこれらの活動を次世代に伝えること。里山の保全は30年、50年といった長いスパンで取り組むことが重要。そこで環境教育の一環として「モッコクラブ」と「やまんばの森学園」というプログラムを運営している。
四つ目の取り組みについてさらにお聞きした。小学4~6年生が対象の「モッコクラブ」は、「子どもたちに起案をさせて、答えは子どもたち自身に出させる」が基本方針。ツリーハウスや秘密基地作りなど、子どもたち自身が計画を立てて年間を通じて取り組む。「やまんばの森学園」では子どもから大人までのグループを幅広く受け入れており、午前中は里山保全を体験し、午後はクラフト作りやザリガニ釣りなどで遊ぶ。
「里山で遊んだ経験は、森が育つように長い歳月をかけて子どもたちの中で育っていくと思います。大人になった時、身近にある山を大切にしてほしい」と大林さんは話す。
今の子どもたちが成長しても、豊かな里山が広がっていることを願いたい。
(取材・山田)
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