中原 利子さん(89歳・近江八幡市在住)
卒寿(数え年90歳)を迎え、画文集「彩りの旅」を今年2月に完成させた中原利子さんが今回の素敵な人。「ちぎり絵」「フラダンス」「ハンドベル」など、多彩な趣味を持ち、ますます元気な中原さんにお話を伺った。
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卒寿(数え年90歳)を迎え、画文集「彩りの旅」を今年2月に完成させた中原利子さんが今回の素敵な人。「ちぎり絵」「フラダンス」「ハンドベル」など、多彩な趣味を持ち、ますます元気な中原さんにお話を伺った。
中原さんの画文集「彩りの旅」には、ちぎり絵、俳句、日本画や書など150点余りの作品と、旅の思い出がつづられている。日本画を趣味としていた母親の影響で、物心ついたときから絵を描いていた中原さん。女学校を卒業するころには本格的に日本画を習い、大阪女流画家展で入選するまでになっていた。
だが、第二次世界大戦が開戦、世情は不安定になる一方だった。そんな中、42(昭和17)年、22歳で結婚。「戦時下では生きることに必死で、日本画どころではなかった。防空壕の中で爆撃音におびえていた日々を思い出すと、今の日本の繁栄は夢のようです。戦争ほど悲惨なものはありません」と中原さん。
長男を1歳で亡くすなど落ち込んだ時期があったが、戦後は長女、次男と家族4人仲良く暮らし、気が付くと50歳を過ぎていた。
自分の時間が持てるようになったころ、義妹が楽しんでいたちぎり絵に出合った。絵ごころのあった中原さんも習い始め、俳句の会にも入会、ちぎり絵に句をつけて楽しんだ。
やがて、子どもたちが巣立ち、実母を見送った中原さんは66歳のとき、初の海外旅行でヨーロッパへ出かけた。
旅行から帰った中原さんは、外国での不安は感じなかったものの、会話ができなくて楽しみが少なかった事を悔やんだ。70歳を迎え、今度はスペインを訪れることが決まると、スペイン語を独学で勉強し始めた。「六十の手習い」ならぬ「七十の手習い」だった。
77歳になると、孫と一緒にアメリカでホームステイにチャレンジ。3週間、英語だけの生活体験をした。
以後、80歳すぎまで、ヨーロッパ、北欧、アメリカ、カナダなど約30カ国を旅して回った。
現在は、近江八幡市にあるケアハウスで生活している中原さん。彼女の毎日は仲間とちぎり絵、ハンドベル、フラダンスなどを楽しみ、充実している。
海外旅行などアクティブな生活を過ごしていた中原さんだが、35年前に始めたちぎり絵と俳句の創作はずっと続けていた。
08(平成20)年、同年輩の人が、長年描きためた絵手紙を簡単な冊子にまとめたのを見た。刺激を受けた中原さんは、自分もできるのではないかと思い立った。
今までの人生を振り返り、「出会ったたくさんの人たちに自分のちぎり絵を見てもらいたい。俳句や海外旅行の思い出をつづり画文集を作ろう」と決心。
今までに創作した作品を集め今年2月、自主出版が実現した。印刷会社などは知人が紹介してくれるなど、周囲の協力もあった。出来上がった画文集はお世話になった人や友人に贈った。
「今回本を出版したことで人生にひと区切りがつけられました」と中原さんは言う。
最後に、長生きの秘訣は?と聞くと、「食事に気をつけて、いつも脳を刺激することでしょうか」と、元気な返事が返ってきた。ハツラツとした笑顔がとても素敵な中原さん、これからも元気で活躍されんことをお祈りしたい。(取材・福本)
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