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掲載日: 2011.05.25

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オーボエ奏者 岡山 理絵さん(東近江市出身・30歳)

東近江市出身のオーボエ奏者、岡山理絵さんがドイツ留学を終え、昨年から本格的に国内での活動を開始した。今年4月には、初のソロリサイタルを近江八幡市で開き、多くの人を魅了した。

リードは手作り

オーボエの魅力は何と言ってもその音色。哀愁が漂い、日本の旋律にも良く合って、心に響く。
音色を左右するのはリード(発音源になる薄片)。自分で手作りする人も多く、岡山さんも作る。出来具合で演奏が変わるが、満足いくものが出来ても1カ月くらいしかもたない。毎回リード作りには泣かされる。岡山さんのリードで演奏されるオーボエはまさに岡山さんの音色。聴く人の心を優しく癒やしてくれると評判だ。
聴衆と近い距離で演奏できるのも魅力。オーケストラの中のオーボエもいいが、もっと身近に親しんでほしいと、図書館や病院、小学校などでも積極的に演奏活動をしている。
「普段あまり音楽を聴かない人にも聴いてほしい。音楽には癒やしの効果があると思うので、つらさを抱える人の心を少しでも軽くできればうれしいです。それが音楽の原点だと思っています」
こうした考え方はドイツ留学で身についた。音楽や芸術が生活の中に普通にあるドイツでは、音楽は生活に密着したものだからだ。

留学で腕を磨く

幼いころからピアノやエレクトーンを学び、小学校高学年からオーボエに興味を持った。中学では親に買ってもらったオーボエ持参で吹奏楽部に入部。自己流でスキルを高めたが、その後、本格的に学ぼうと、石山高校音楽科に入学、駒ヶ嶺重成氏に師事した。京都市立芸術大学、同大学院で実力を上げ、在学中の03年には第6回津山総合国際音楽祭ダブルリードコンクール4位入賞。京都市交響楽団のオーボエ協奏曲のソリストを務めたこともあった。
「卒業後の進路を迷っていたとき、留学から帰ってきた人の演奏を聞いて格が違うと感じました」
(財)ローム・ミュージック・ファンデーションの奨学援助が受けられることになり、芸術と音楽の国ドイツへ。マンハイム音楽大学、ヴュルツブルク音楽大学で学びながら、教授の紹介で現地のオーケストラの定期公演に客演するようになった。周囲から実力が認められ、オーケストラの演奏旅行やCD録音、音楽祭、オペラ公演など活躍の場を広げていった。

聴衆も歌い出したリサイタル

30歳となった2010年、日本でプロとして活動するため帰国した。
初のソロリサイタルは肩ひじ張らず気軽に楽しめるものにしたいと考え、クラシックだけでなく「春が来た」などの唱歌もアレンジして取り入れた。曲の合間に語りを入れると、観客も曲に合わせて一緒に口ずさみ始めた。観客席が静かなクラシック演奏会ではあり得ない出来事だが、予想以上に楽しいリサイタルになった。
今後はオーケストラだけでなく、室内楽でアンサンブルをやりたいと言う。演奏者一人一人の距離が近く、客との距離も近いからだ。岡山さんの音楽の原点、それは人との距離感にあるようだ。
(取材・福本)

 

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