劇団「わらび座」 俳優 上野 まゆさん (東近江市出身・28歳)
伝統芸能をベースにした独特の歌と踊りの舞台で子どもから大人まで幅広いファン層を持つ「わらび座」。そのトップスター・上野まゆさんが7月18日、故郷の東近江市で凱旋公演する。ミュージカル「アテルイ―北の燿星」だ。
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伝統芸能をベースにした独特の歌と踊りの舞台で子どもから大人まで幅広いファン層を持つ「わらび座」。そのトップスター・上野まゆさんが7月18日、故郷の東近江市で凱旋公演する。ミュージカル「アテルイ―北の燿星」だ。
今年で創立60周年を迎える劇団わらび座の舞台の特色は、歌と踊りにある。基本は民謡やお囃子などの伝統芸能だが、現代版ミュージカルなども積極的に取り入れ、演目の幅は広い。
秋田県にある「田沢湖芸術村 わらび劇場」を拠点に、団員が七つのチームに分かれ、全国で年間約1200公演を行っている。「人っていいな」「生きるって素晴らしい」……人間の根源に迫る舞台が、子どもから大人まで多くの心を魅了。根強いファンも多い。
子どものころから人前で歌うことが好きだった上野さんが演劇や歌舞の世界を目指すようになったきっかけは、中学2年生のときに参加した「東近江創作ミュージカル」だった。
キャストもスタッフも全て一般公募。いろんな世代の人と触れ合いながらみんなで舞台を作り上げる楽しさに夢中になり、高校3年生まで毎年参加した。
わらび座との出会いは高校生のとき。卒業後の進路の一つとして母親が勧めた。初めて見たわらび座の舞台は、一つのテーマを歌と踊りで表現するものだった。今までに見たことのない舞台で大きな衝撃をうけた。こんな世界もあるのかと思い、わらび座の研究生になることに決めた。受験で初めて訪れた秋田の空気が自分に合っていると感じたのも理由だった。01年、養成所を受験、大阪の大学と両方に合格したが、わらび座を選んだ。
研究生になると、発声練習や基礎体力づくり、演劇、音楽、舞踊と厳しい練習が続いた。10人いた同期も1学期が終わるころには半数、1年後には男性2人と上野さんの3人になってしまった。
「男性に交じってのけいこは体力的にも大変でしたが、やめたいと思ったことは一度もありません。劇団を知れば知るほど好きになり、早く舞台に立ちたいという思いが支えになりました」。
持ち前の抜群の歌唱力で徐々に存在感を発揮。02年夏の初舞台以降、全国の小学校を回るチームの主役、音楽バンドのボーカル、有名演出家を迎えたミュージカル「火の鳥」でブチ役を好演するなど、次々と大役をこなしていった。
満足のいく演技ができず悩むこともあった。舞台に立つと、役を通して自分の人間性までも観客に伝わる。私生活での経験が役の幅の広がりにつながることから、普段から人との出会いを大切にして、人間力を磨いていくことを心掛けた。年齢を重ねるほど人間にも役にも深みが出る役者になりたいと願っている。
凱旋公演の「アテルイ―北の燿星」は、現在の岩手県胆沢地方に実在したアテルイを主人公に、侵略しようとする朝廷の大軍に立ち向かう地元の人々を描いた作品。
東日本大震災の被災地での公演では、被災者から「『アテルイ』で東北人の力を全国の人に伝えてほしい」と言われた。
唯一の女戦士として体当たりの演技を見せる。舞台上で剣を振り回し、声を張り上げ戦う姿は迫力満点だ。
(取材・福本)
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