近江八幡市立総合医療センター 禁煙専門医・病理専門医 細川 洋平さん(58歳)
県内で先駆的に禁煙推進活動に取り組んできた近江八幡市立総合医療センター。細川洋平さんをはじめとする5人の医師が外来で禁煙サポートしているほか、県内の学校や地域で防煙教室を開くなど、タバコで愛する人を亡くさないための活動に力を注いでいる。
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県内で先駆的に禁煙推進活動に取り組んできた近江八幡市立総合医療センター。細川洋平さんをはじめとする5人の医師が外来で禁煙サポートしているほか、県内の学校や地域で防煙教室を開くなど、タバコで愛する人を亡くさないための活動に力を注いでいる。
細川さんが医師になって10年ほどたったころ、父親が認知症になった。病気が進行して寝タバコで布団を焦がしたり、ひどいときにはタバコを食べようとし、家族を困らせた。医師とはいえ、認知症は専門外で、禁煙治療も知らなかった。できることといえば、父親からタバコを取り上げることぐらいだったと残念そうに振り返る。「喫煙は様々な病気と関係が深い。また受動喫煙による健康被害もあります。タバコと病気の関係について正しい情報を提供することが大切です」と細川さん。
その後、京都第一赤十字病院に勤務し京都禁煙推進研究会に所属。禁煙推進活動に携わるようになった。04年、現在の医療センターに勤務し、05年1月からスタートした禁煙外来の担当となった。
滋賀県内でも細川さんは早くから禁煙推進活動に取り組む医師として知られている。医療センターの禁煙外来は通常、3カ月で 5回通院する仕組み。予約が必要で、細川さんは月 1回診察を担当している。
禁煙外来の役割は患者がタバコを楽にやめられるように手助けをすること。そのため、患者との対話が欠かせない。細川さんは患部から採取した組織標本を顕微鏡で観察し、診断する病理医の仕事が長く、患者と向き合って診察をすることがなかった。禁煙外来が開設された当初は一方的に話すことが多かったが、患者の話を聴くように心がけているうちに、患者も心を開いてくれるようになったという。吸いたい気持ちを我慢するだけでなく、禁煙補助薬を使うことでタバコなしでも落ち着いて過ごすことができる。「薬をうまく使えば禁煙は決して苦痛ではない。あれこれ迷っていないで、勇気を出してぜひチャレンジして下さい」と細川さん。
外来には20代から80代の患者が診察に訪れ、1日 60本も吸うヘビースモーカーも珍しくない。「禁煙サポートは3カ月間。
禁煙するとだんだん顔色がよくなり、晴れやかな表情になってきます。頑張り抜いて成功した患者さんの笑顔を見るのが、一番うれしい」。禁煙外来の成功率は9割。しかし、その半数が再び喫煙してしまうことが知られており、看護師が3カ月おきに電話で様子を尋ねて再喫煙防止に取り組んでいる。
診察以外にも、県内の学校に出向いて防煙教室を開いている。タバコの害を説き、将来、喫煙を断われるように学習してもらっている。
子どもたちの反応は良く、驚くほど話に食いついてくるという。
また、地域の文化祭にも出かけ、無料卒煙支援コーナーを毎年開催。「喫煙だけでなく、飲酒や食生活などを含めた生活習慣全般について見直し、健やかに生きることの大切さを考えていただきたい」と、熱く語る。
30日には医療センターで「世界禁煙デー・日本禁煙週間記念公開講座」を開く。内容は禁煙啓発講演会や無料検査、無料相談など。
(取材・鋒山)
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