ヘルシーで楽しい野菜料理

具材にホウレン草とニンジンだけを使い、豆乳で仕上げたキッシュ（パイ生地の中に具材を入れてオーブンで焼いたもの）。手作りのいちごアイスクリームとチョコレートケーキ。その横には水にパンジーを浮かべたガラスの花皿が……。
中田さんが教えているのは野菜の甘みを存分に生かした、おいしくてヘルシーな料理だ。

「食の大切さ」看護師の仕事を通じて実感

もともと看護師の中田さんが「料理教室を開こう」と決心したのは、病院勤務のとき、食欲がある子どもは手術後の回復がとても早いことを痛感したからだ。
生家が「うなぎ屋」だったので、幼いころから身近に料理があった。結婚してからも度々、ホームパーティーを開き、子どもたちとパンやクッキー作りを楽しんでいた。そのうち、野菜の「調理方法」や野菜を中心とした食事の「楽しさ」「大切さ」を広めていこうと思うように。日本野菜ソムリエ協会の「ジュニア野菜ソムリエ」の資格を目指し、試験に見事合格した。
これは、野菜や果物の正しい基礎知識と野菜や果物の楽しさを日々の生活に役立てるための民間の能力検定だ。

調理法だけでなく　テーブルコーディネートも

資格を取得した中田さんは早速、家族の協力を得て自宅で料理教室を開設。
１回のレッスンは約４時間で、毎回作る料理は10品ほど。いずれも野菜中心だが、牛乳の代わりに豆乳を使ったり、モモ肉の代わりにムネ肉を使ったり、油で揚げる代わりに蒸したり、体にやさしい料理を心がけている。
さらに、「おいしい野菜の選び方」「野菜をおいしくする調理方法」「食欲を刺激する盛り付け」「楽しいテーブルコーディネート」なども講義に加えている。

子どもたちや男性も指導

自宅での教室参加者は20歳から60歳ぐらい。ほとんどが女性だが、別に会場を借りて開いている教室では子どもや男性にも教えている。
子どもたちの教室では食生活と健康の関係についても教え、時にはスーパーマーケットに出かけて一緒に野菜選びをしたり、作った料理を試食したり工夫している。さらに、珍しい野菜や果物を北海道や沖縄などから仕入れるなど、講義に魅力を持たせるようにしているという。
「看護師の仕事も、料理教室の仕事も、行き着くところは同じです。看護師は患者さんに寄り添います。そして、病気が回復するとありがとうの言葉や笑顔が返ってきます。料理教室も“おいしい”“楽しい”と喜んでもらえます。いずれも目的は『健康になること』……同じでしょう」と、笑顔が魅力的な中田さんだった。

(取材・鋒山)