按摩・マッサージ・指圧師 兼田茂和さん(高島市在住・55歳)
不慮の事故に遭い、目が不自由になりながらも按摩・マッサージ・指圧師の国家試験に挑戦して見事合格し、治療院を開院した兼田茂和さん。県立盲学校では難易度の高い勉強にも挑戦し、分からない所は積極的に講師に質問した。
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不慮の事故に遭い、目が不自由になりながらも按摩・マッサージ・指圧師の国家試験に挑戦して見事合格し、治療院を開院した兼田茂和さん。県立盲学校では難易度の高い勉強にも挑戦し、分からない所は積極的に講師に質問した。
会社勤めをしていた兼田さんは34歳の時、通勤途中で不慮の事故に遭った。その後、目が不自由になったため、按摩の道に進むことを決意。2008年に県立盲学校に入学した。51歳だった。月曜日から金曜日は彦根市にある県立盲学校の寄宿舎で生活。週末になると、高島市にある実家に帰るという生活を続けた。彦根市と高島市の距離は、電車で2時間以上かかる上、自動車がたくさん通る大通りも歩かなければいけないので危険を伴う。天気の悪い日はなおさらだ。
解剖学、衛生学、病理学など12教科を学ぶ勉強は1日8コマで16時まで授業が行われる。専門的な知識を習得しなければならないうえ、学ぶ分野も様々。目が不自由な兼田さんには見て覚えるということができないので、教科書の内容を音声にしたCDを使用して勉強した。それを何度も聞きながら覚える兼田さん。しかし、意外にも勉強は楽しかったのだという。元来が理系の兼田さんは特に西洋医学の勉強にやりがいを感じた。最初は7人いた同級生が1人減り、2人減り最後には1人になってしまったが、3年間やり通した。
あんまやマッサージ、指圧は実技の訓練が欠かせない。兼田さんは講師に頼んであんまをさせてもらったり、リハビリの専門病院であんまやマッサージを行うなどして自分の腕に磨きをかけた。自信があったという按摩・マッサージ・指圧師の国家試験には一発で合格した。
現在は高島市宿鴨で兼田治療院を開院している。問診や触診から始まり、個人に応じた治療を行う。腰痛や肩こりなどよく聞く症状でも裏に大きな病気が潜んでいる場合があるので、いろいろな角度から診断を下す。人の命を預かる重みを日々感じるという。治療を行い、一見治ったかのように思ってもきちんと治療しないと少ししてから再び不調をきたすので、自己判断で治療を中断してはいけないのだという。「お待たせすることがあるので、来院の際には必ず予約の電話を入れて下さい。」と兼田さん。患者を思う気持ちが治療に表れる。
(取材・志賀)
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