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掲載日: 2014.10.8

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古典笛師 尾本 玄翠さん(彦根市在住・62歳)

和楽器の縦笛「篳篥(ひちりき)」の音色に魅せられ、サラリーマンから楽器作りの道へ進んだ尾本玄翠(おもとげんすい)さん。より良い音色を求めるうちに、演奏から楽器作りに興味が移り、会社員を定年退職したのを機に本格的に笛作りに打ち込んだ。独学でのスタートながら、今では全国的に高い評価を得ている。

最初は見よう見まねで

上から神楽笛、高麗笛、龍笛、能管

学生時代は吹奏楽部や軽音楽部で音楽を楽しみ、社会人になってからもギターやピアノを趣味にしていたという尾本さん。若いころは雅楽とは無縁の生活だった。 雅楽との出合いは20年前、多賀大社の雅楽講座に参加したとき。篳篥の荘厳な音色に魅せられた。息の吹き込み方や指の抑え方で音程が変わること、蘆舌(ろぜつ)と呼ばれる音を出すリードを演奏者が削る必要があることを学んだ。 尾本さんは多賀大社の講座で2年間勉強し、自分で蘆舌を作ろうと思い立って近江八幡の水郷に自生しているヨシを材料に、手探りの挑戦を始めた。 楽器本体に使う煤竹(すすだけ)は知人から譲ってもらった。装飾用の籐ひもや漆は、釣り竿に使うもので応用した。 出来栄えを確認したくて、完成品を和楽器店に持ち込み「売れますか?」と聞いてみた。しかし、「見た目は奇麗だが、うちでは扱えない」と断られた。 作者の名と実績が重んじられる世界で、無名の尾本さんは伝統芸能の大きな壁を感じた。 とても悔しかったが、仕事が忙しくなったため仕方なく笛作りを40代半ばで中断することにした。

退職機に笛作り再開

57歳で勤めていた会社を退職した後、笛作りを再開した。今度は伝統の技能を習得するために、京都の名門雅楽器師・六代目山田英明(やまだひであき)さんに弟子入りした。 古典笛に図面はなく、自分の耳で音を確かめながら製作していくので、作者自身が古典笛を吹く必要があることを初めて知った。作業で一番難しいのは音を合わせる工程。竹の内径や穴の距離を確かめ、0.1㍉単位で調整していく。尾本さんは努力を重ね、2年間で篳篥だけでなく、横笛の龍笛や能管の作り方も習得した。 師匠から「笛を作るために生まれてきた人」と評価された。2010年には自宅の一部を工房にし、本格的な製作活動に入った。

プロに認められた喜び

篳篥と蘆舌

2012年、伊吹町で開かれた能楽演奏会で、一噌流笛方の一噌幸弘(いっそうゆきひろ)さんに面会できるチャンスが訪れた。自分の笛をプロに見てもらおうと、本番前の控室に会いに行った。 一噌さんから「低音・高音のバランスが良い。特に最も高音の『ヒシギ』が百発百中 ! 」と気に入ってもらい、その日の演奏会で使ってくれた。 「プロが演奏すると、自分の作った笛から自分でも知らなかった幅広い音が出て、とても感動しました」 それ以降も、一噌さんは尾本さんの笛を好んで使ってくれているという。

全国から絶えない依頼

「出来上がった笛は同じように見えても個性があり全部違う。自然の素材を使うので全く同じものはできないからです。だから飽きずに続けられるのでしょうね」 笛を作る工程は30~40に及び、1本作るのに2~3カ月もかかる。作れるのは年間20本が限度。近ごろは製作依頼や修理依頼が後を絶たないという。 「雅楽を楽しむ若い人も増えていると感じます。多くの人に古典笛の素晴らしさを感じてもらえるよう、これからも作り続けていきたいですね」 (取材・福本)

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