里山を守り活かし 未来へとつなげる
NPO法人 里山保全活動団体 遊林会
代表 井田 三良(いだ みよし)さん(東近江市在住・69歳)
かつての里山を蘇らそうと25年前、井田三良さんたち5人のメンバー(遊林会)は立ち上がった。
長年放置され荒れ果てた河辺林を整備するのは容易ではないが、動植物や人が集える場所にしたいと里山保全活動を進め、4年後の2002年には市と協働して「河辺いきものの森」(東近江市建部北町)が誕生した。
現在年間約8千人の小学生が自然体験学習にここを訪れ、井田さんは子どもたちに人と自然をつないでくれる里山の大切さを伝えている。
会社員から小学校教諭に
ネイチャーセンター
小学生のころから理科が好きだったという井田さん。高校生になるとレンズや水道管のパイプなどを使い、雑誌を見ながら自分で天体望遠鏡も作った。高校卒業後大手電機メーカーに就職したが、星好きの仲間を誘って天体観測をしたり小学生相手に星空観望会を開いたりした。
もともと子ども好きだった井田さんは、「もっと子どもたちと関われる仕事がしたい。そうだ教師になろう」と考えるようになり、25歳のとき会社を辞めた。通信教育で猛勉強し2年後教職員採用試験に合格した。
教壇に立つ傍ら自然観察指導員の資格を取得し、自治体主催の自然観察会に講師として参加するようにもなった。
この森を拠点に
森林環境学習「やまのこ」で、里山の大切さを伝える井田さん
伐採作業中の遊林会の皆さん
ある日「狐がいる森を見に行こう」と仲間から誘われた。道に迷うようなうっそうとした森だった。かつては人が出入りしていた里山がすっかり荒れ果てていた。
「もう一度みんなが集える里山をつくろう」
1998年井田さんら5人は楽しみながら無理のない範囲で、自分のペースで森の整備を行う「遊林会」を発足させた。チェーンソーを使って大きな木を切り、広大な竹林を根から掘り起こして広場を作った。2002年には市と協働してネイチャーセンター「河辺いきものの森」を完成させた。
小学4年生が対象の森林環境学習「やまのこ」には近隣の小学校20校が毎年訪れ、八日市北小学校の4年生は総合的学習の一環として年間を通して訪れる。
「特に人気があるのは10人ごとのグループで年間10回活動する『モリイコ!』のイベントです。指導員と一緒に草花を採って染色したり、マッチをすって火をおこし、ウインナーを焼いて食べたり。今は自然に触れる機会や学年を交えて遊ぶ縦のつながりが減っています。活動する中で仲間と一緒に何か行動できる子どもたちになってほしいと思っています。」
自然の魅力を共有
野神(のがみ)さん
森を守る山の神様が祀られている
最近は活動に参加した子どもたちが遊林会の活動日に親を一緒に連れて来たり、落ち葉かきや薪作り、しば(小枝)拾いなど家族で楽しみながら活動に来てくれたりするのがうれしいと話す。
「子どもを通して森に来た大人も自然に触れて何か感じて変わってくれたらうれしいです。たくさんの方に気軽に森に来てもらおうと、ネイチャーセンターで年に2回コンサートを開いています。12月10日にはクリスマスコンサートを開きます。ぜひ一度森を見に来てください」
●お問い合わせ
NPO法人 里山保全活動団体 遊林会事務局
河辺いきものの森内
滋賀県東近江市建部北町531
TEL:0748-20-5211
☆次回の保全活動日
■開催日:2022年11月12日(土)
■内容:9:00~10:00 自然観察会、10:00~12:00 保全活動<竹林整備・林内整備など>
☆★第39回 森のクリスマスコンサート☆★
■日時:2022年12月10日(土)16:30開演(16:00開場)
■料金:1500円 ※要事前申し込み(TEL:0748-20-5211)
■場所:河辺いきものの森ネイチャーセンター
■定員:70名
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