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大津祭を支える名工の技 60年ぶりに曳山の車輪を復元・新調

掲載日: 2016.10.11

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宮大工 太田 豊地さん(大津市在住・61歳)

湖国三大祭の一つで、県の無形民俗文化財に指定されている大津祭。13基の華麗な曳山が大津の街を巡行する祭りだ。その曳山を支える車輪の一つが2年前、 約60年ぶりに新調された。担当したのは大津市の宮大工・太田豊地(おおたとよじ)さん。図面もなければ技術書もない中で、試行錯誤をくり返した。難問に 直面したとき、突破口を開いたのは大工だった祖父の教えと、ジュエリーデザイナーの長男の協力だった。

図面なく現物を一から採寸

曳山の車輪を新調する話が舞い込んだのは2012年のこと。大の祭り好きで、若いころは囃子方として曳山に乗り、威勢よく町を駆け巡っていた太田さん。祭りに恩返しするチャンスと考えて引き受けた。しかし作業は思いのほか難しかった。
昭和20年代後半までは県内に車輪の新調や修理を手掛ける車大工がいたが、それ以降は京都の業者に修理を任せており、地元に技術が伝承されていなかったのだ。
以前、車輪の調子が悪くなったとき、浜松の車大工に話を聞きに行ったことがあった。「分解はできない」と言われたが、人間が組み立てたものだから分解できないはずがないと考え、自分で分解して組み立てに成功した。だから、車輪の構造は分かっていた。
江戸時代に作られた曳山には図面などは一切無い。現物を採寸しながら自分で図面を描いていった。

祖父の教えヒントに

車輪の材料のアカガシは自然乾燥しにくい。精密に採寸して部品を作っても乾燥するとひずみや狂いが出てしまう。本来なら数年は乾燥させる必要があるが、補助金等の関係で時間は1年に限定されていた。
そのとき、ふと若いころに祖父が話していた「水中乾燥」の技法を思い出した。木材を水中に沈め、木材の樹液と水分を入れ替えることで乾燥しやすくする技法だ。この技法を使うことで、何とか半年で乾燥を終え、残り半年で組み立てを完了させた。
難問は続いた。車輪の軸部分を金物で補強する必要があったが、この型がなく、思い通りのものを作ってくれる業者が見つからなかった。
そんなとき、シルバージュエリーデザイナーをしていた長男の雄介(ゆうすけ)さんが父親の仕事に興味を持ち、金物作りを引き受けてくれた。
車輪の彫刻や漆塗りも、太田さん自身が手がけた。普段は直線的な仕事が多いので、曲面の作業には苦労し、漆にもかぶれて大変だったという。

長男、次男も宮大工の道へ

13年10月、太田さんが見守る中、車輪が新調された曳山は巡行を果たし、観客から大きな歓声が湧き上がった。
今回の仕事をきっかけに雄介さんは宮大工の道へ進むことになった。二男の達也(たつや)さんも父の技術を継承すべく一緒に仕事に励んでいる。何よりもうれしい副産物だ。
2014年、「おうみの名工」に選ばれた太田さん。今年は大津祭曳山責任者会の大役を任された。祭りの陰の立役者として、この先も祭りを見守り続けていくつもりだ。(取材:2015年8月・福本)

大津祭 本祭 曳山巡行
●開催日:2015年10月11日(日)
●時間: 9:00 天孫神社前集合
9:30 出発
12:00~13:45 中央大通りにて曳山展示
13:45 午後巡行開始
17:30 寺町通り百石町交差点解散
●大津祭に関する問い合わせ:大津祭曳山連盟(TEL:077‐525‐0505)

●お問い合わせ
太田工務店
大津市大石東4‐1‐1
TEL:077‐546‐6338

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