デザインはチカラ
「人が喜んでくれるのが好きです」
グラフィックデザイナー
カフェ「メゾン・ド・フルール」オーナー
上垣 智史(うえがき さとし)さん(大津市在住・57歳)
グラフィックデザイナーとして活動を続ける傍ら、瀬田川のほとりに佇む洒落たカフェのオーナーでもある上垣智史さん。
「美しいものに出会って好きなことをしていると、それがめぐりめぐって仕事に役立ってくるんですよ」と、共にお店を始められた亡きお母さまが以前私におっしゃった言葉をそのまま実践されているような、笑顔の素敵な人だ。
パリに魅せられて
カフェ「メゾン・ド・フルール」
ファッション関係の仕事でヨーロッパへの出張が多かった父親の影響もあり、大阪芸術大学舞台芸術学科に進学した上垣さん。入学早々1週間ほど、父親から聞いていた憧れのパリに初めて行った。「百聞は一見に如かず」を実感した。カフェ「メゾン・ド・フルール」は、上垣さんを魅了したパリの街がモデルになった店だ。
大学卒業後空間デザインを手がける株式会社アルスに就職し、ショーウィンドウのディスプレイなどを担当したが、「自分の店を創りたい」という思いが次第に募っていった。
1997年4月、母親の喜美子さん(2024年1月逝去)が「お花屋さんをしたい」と言い出し、8年勤めた会社を退社して、1階が花屋2階がカフェのメゾン・ド・フルール(フランス語で「花の家」の意)を一緒に始めた。
いつもデザインのことを考える
センスの良いメニュー表も制作
店内には上垣さんが制作したポスターが飾られている。大津ジャズフェス、滋賀県社会福祉協議会、滋賀・京都のバレエ団、東京のジュニアオーケストラ・・・
「デザインの力を信じているんです。ポスターを見て『あ、面白いな』と思ってもらえたら、それが最初の入り口になります」
上垣さんが高校生の頃から、デザインの依頼を受け制作を続けているバレエ教室の発表会用パンフレット。「小さなバレリーナたちが刷り上がった紙面を見て喜んでくれるので、本番に向けてのモチベーションが上がります」と、教室の先生から言われ嬉しくなったことがある。
皆を喜ばせるデザインの源はどこから?と問いかけると「何をしていても、どこかでデザインのことを考えているんですよ~」と、笑顔で答えが返ってきた。カフェで客と話をしているときや料理を盛り付けているとき、どこかに出かけたときなど全ての時間がデザインイメージに繋がっているのだ。
あたたかく遊び心で溢れた作品の数々は、上垣さんの人柄がにじみ出ているようだ。
色んなことを楽しんでやってみる
上垣さんのお母さまがお花屋さんを始められたのは、還暦を迎えられたときだった。以前、お母さまとお会いする機会があり、「仕事で大変なことはありますか?」とお訊ねしたときも、「嫌だと思うことがないんですよ。美しいものに出会って好きなことをして、それが自然とめぐりめぐって仕事に役立ってくるのです」と、語ってくださったことを思い出す。
好きなものに触れて、笑いながら仕事をして、周りの人を元気に幸せにできる「二足のワラジ」を履く上垣さん。これからも、きっとたくさんの素敵なデザインを生み出されるのだろう。(取材・坪田 彩)
●お問い合わせ
滋賀県大津市瀬田3-14-7
TEL:077-544-0191
インスタグラム: @cafe.maisondefleurs
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