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吊るされたドライフラワーで店の天井が埋め尽くされた「カーロ アンジェロ」。
センスの良いドライフラワーの店として人気の店内には、色鮮やかな花やワイルドフラワーなどの生花も並ぶ。オーナーの平野香陽子さんがセンスを培った原点は、専門学校時代自費で花を買い続け繰り返し練習したブーケ作りだった。
彦根城と共に発展した歴史ある橋本町商店街に、お洒落な生花店「カーロ アンジェロ」がある。オーナーで店長の平野香陽子さんは短大卒業後12年間保育士として勤めた。子どもたちと接する仕事が大好きだったが、神経を磨り減らす毎日に疲れ果て退職。
「もう一度何か勉強がしたい。これまで貯めたお金を自分の身になるものに使いたい。そうだ！花の勉強に使おう」と思った。母親から「お花をもらってイヤな気持ちになる人はいないから、花を仕事にするのはいいと思う」と背中を押され、京都のフラワーデザインの専門学校に入学。花と器の黄金比※やワイヤーを使って花をまとめるワイヤリング、ループや蝶々型のリボン結びなどを勉強し、ブーケ作りを修得するため2年間、毎週自費で花を買い続け学んだという。
※調和のとれた美しさを感じる比率
専門学校卒業後長浜の生花店で4年間ウェディング関連の仕事をしたが、自分で店を持ちたい気持ちが芽生え会社を辞め自宅のガレージを使って、自身がセレクトした花で生花店を始めた。店は口コミで広がり、縁あって平和堂日夏店にテナント出店するまでになった。
「商店街の中に店があったらいいな」と次第に夢は膨らみ、暇をみつけては物件を探し回った。昔表具屋だった古民家に偶然出合い一目ぼれ、「カーロ アンジェロ」を始めた。
平野さんはウェディングブーケや花冠、リースなど、祝いの花作りが得意だ。シックな色合わせ、華やかな組み合わせで作る唯一無二のブーケは評判となり、県内外から「平野さんのお花を大切な人に贈りたい」と多くの客が訪れる。
リース作りは集中力と色の取り合わせ。「色や形のセンスはいいものをたくさん見ることで養われ、磨くと誰でも磨かれます」と話す平野さん。元々シックな色合いの生花を取り揃えていたが、余った花を自宅に持ち帰って眺めると、「ピンクや明るい色を飾るとウキウキする。色があると心が和む」と改めて感じた。
店には色鮮やかな花や、ワイルドフラワーと呼ばれる生命力あふれる珍しい花が並び、キーパー（花の冷蔵室）に入れずに並べられた花は「花持ちがいい」と客に喜ばれている。店内の天井を埋め尽くすドライフラワーは「花を捨てるにはしのびない」と開業時から吊るし始め、今では「あの素敵なドライフラワーのお花屋さん」と、店の代名詞にもなるほど。
コロナ禍をきっかけに異業種との交流も増えた。「彦根のいいものを皆に知ってもらおう。店がその拠点になったら」と、イベントやワークショップを不定期に開催している。「カーロ アンジェロ」は花で人と人をつなぐだけでなく、人の集うコミュニティにもなっている。（取材・坪田 彩）
●お問い合わせ
カーロ アンジェロ
滋賀県彦根市河原町2-26
TEL： 0749-20-2224
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2025年01月9日
2025年01月8日
