株式会社ENON 代表取締役 藤原 穂波(ふじわら ほなみ)さん
高島市商工会が主催する地元事業者の新商品を応援するコンテスト「高島ええものグランプリ」で今年1月、藤原穂波さんが開発した「ほなみさん家の発酵ドレッシング ゆず」が金賞に選ばれた。
過疎化が進む朽木に移住して9年、自然の恵みと地元の人たちの温かさに救われてきたと話す藤原さん。その恩に報いたいと地域創生に向けた新たな取り組みが始まった。
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高島市商工会が主催する地元事業者の新商品を応援するコンテスト「高島ええものグランプリ」で今年1月、藤原穂波さんが開発した「ほなみさん家の発酵ドレッシング ゆず」が金賞に選ばれた。
過疎化が進む朽木に移住して9年、自然の恵みと地元の人たちの温かさに救われてきたと話す藤原さん。その恩に報いたいと地域創生に向けた新たな取り組みが始まった。
藤原さん一家は2016年、京都から朽木に移住して来た。きっかけは当時小学2年生の息子の学級が崩壊し、情緒不安定になった息子のために環境を変えようと思ったことだった。相談に乗ってくれたのがたまたま高島市出身の校長で、「高島の風土や人の温かさが息子さんに合うのでは」と朽木を紹介してくれた。
朽木に足を運ぶうち、何かに呼ばれるかのように雲洞谷(うとうだに)に家を見つけ移住を決めた。朽木は日本海から京都に海産物を運ぶ重要な陸路「鯖街道」の中間に位置し、かつては物々交換の地として賑わった歴史ある町。二人の子どもは豊かな自然と温かな町の人たちに見守られながら、次第に笑顔を取り戻していった。
1933(昭和8)年に建てられた丸八百貨店は、国の登録有形文化財として登録されている朽木のシンボルだ。百貨店としての役目を終えた後もよろずやとして営業していたが、戦後朽木村が買い取り20年ほど前からは地元の女性10人が「陸美会(むつみかい)」を結成して、にぎり飯や惣菜、加工食品の販売、喫茶などの運営に参画してきた。しかしメンバーが歳を重ねたことで2023年3月、惜しまれつつその活動に幕が降りた。
その幕を上げたのが高島市の町おこし事業に応募した藤原さんだった。地域住民の寄りどころの丸八百貨店を閉じてはならない、と起業を決意。夫にも協力してもらい「朽木の未来像」を市にプレゼンテーション。見事新たな指定管理者に選ばれた。
2023年4月から始めた活性化への取り組みは今年3年目を迎える。当初料理人を使って食事を提供していたが、常連客からある時「家庭料理を作ってみたら」というアドバイスに押され、藤原さん自身が調理場に立つことになった。メニューの試作に明け暮れる日々だったが「なんでこんな美味しいのができたんやろ」と思うほど、不思議と味が決まるようになってきた。地元の美味しい米・野菜・鶏肉、福井から届く新鮮な魚などを使った定食は町の人たちに喜ばれた。発酵が盛んな地の利を活かした発酵ドリンクやランチも始めた。
今年1月、藤原さんが構想から2年掛けて開発した「ほなみさん家の発酵ドレッシング ゆず」が、2024年度の「高島ええものグランプリ」の金賞に輝いた。「朽木の風景を守り、過疎化が進むこの地域に新たな雇用を生み出したいです」と迷いなく語る藤原さんの言葉には、朽木への愛が溢れているように見えた。(取材・坪田 彩)
●お問い合わせ
株式会社ENON 代表 藤原 穂波
滋賀県高島市朽木市場838番地(丸八百貨店)
TEL:0740-38-3711
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