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掲載日: 2004.08.11

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毎日書道展グランプリ 秋山洋子さん

今回の素敵な人は薬学の研究者であり書家でもある秋山洋子(近江八幡市在住・56才)さんです。

書家として、薬学研究者として

7月のある日、彦根東高17回卒業生のメーリングリストに「秋山洋子さんが第56回毎日書道展でグランプリに選ばれ…」という情報が流れた。

「秋山洋子さん」と言えば、同窓生の中では秀才として知られており、彦根東から京都大学薬学部に進学の後、武田薬品に入社。その後、博士号を取得し、現在も主席研究員として活躍。しかし、もう一つ、書家としての顔があり、知る人ぞ知る書の達人。さっそく筆者は同窓のよしみで取材をさせてもらった。

一瞬のきらめき書道家の顔

厳重にガードされたマンションのインターホーンを押すと、庶民的でややスローな返事が返ってきた。気取らない声にホッとし、同行したスタッフと共に部屋に入らせてもらった。さっそく目に付いたのが100本を超える筆。天井まで積まれた書道の紙。所々墨で汚れた畳、まさしくそこは書道家の住み家だった。
彼女が書道を始めたのは10歳の時。学校の先生に「何か目標を持ちましょう」と言われ、親に「書道を習わせて欲しい」と頼んだのがきっかけ。
今回の受賞作品は「攀月樹」と書かれたものだが、あまりにも難しいので分かりやすい「風」という字を書いてもらうことにした。
秋山さんの好みの筆は「羊の毛」。柔らかく長く、腰が全く無い。素人ではとても扱えない。二言、三言、話をしているうちに一瞬、彼女の身体が前傾したかと思うと、腕と手首が空を切るように走った。そして紙の上に「風」という字が…穏やかな彼女の人柄とは想像できないシャープで力強い字だ。もう一枚お願いして、今度は彼女の表情に注意を払った。すると、それまでの秋山さんとはまるで違う人格が一瞬、閃光のように輝くのを見た。全て厳しい修行の結果得られたものだと感じた。

毎日が真剣勝負

彼女はいつも朝6時半に家を出て8時に出勤。夕方4時45分には勤務が終了するが、会社を出るのはほとんど8時を過ぎ、帰宅は10時を回るという。書に親しむのは土日と祭日に限られるが、その忙しい中を縫うようにして彦根と近江八幡で書道を教えている。
薬の研究と書道。いずれも穏やかだが厳しい真剣勝負。これからの活躍がますます楽しみだ。
(取材・山田/撮影・北中)

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