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掲載日: 2005.01.13

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空手指導員 田中慎二さん

國際松濤館
空手道連盟総本部指導員
田中 慎二さん(37歳)
(たなかしんじ)

今回の素敵な人は、近江八幡市出身の空手指導員、田中慎二さん。国内外で空手を指導。

世界を舞台に空手を指導

近江八幡出身の田中慎二さん(東京在住)は、國際松濤館空手道連盟総本部の指導員。国内各地の大会で模範演技を披露し流派を超えて指導にあたっている。また年に数ヶ月は海外を飛び回る。昨年秋もベルギー・スイス・イスラエル・ポルトガルを訪ねた。2004年8月に開催された「第24回全国空手道選手権大会」では、「個人型」で3連覇、7度目の優勝を飾る。

近江八幡の父の背中を見て同じ道へ

田中さんが空手を始めたのは、近江八幡で道場を開いている父親の影響。物心ついた時にはすでに空手を始めていた。しかし中学時代は、学校が荒れていたこともあって遠ざかってしまう。高校卒業後も海上自衛隊に入り、空手の指導とは関係のない世界にいた。そんな田中さんが空手にもどってきたのは、昼間働きながらも夜に一生懸命指導する父親の姿が忘れられなかったから。さらに自衛隊の任務で世界を回るうちに「世界を舞台に空手を指導したい」と強く願うようになった。連盟本部での研修後、27歳で資格を取り指導者の道をすすむことになった。

海外で受け入れられる空手

外国に行けば、空手は精神的な鍛錬の場として認識されている。そのため人格育成や教育の一環として取り組む国が多い。國際松濤館が指導する国は111カ国、生徒は250万人以上にものぼる。音楽や美術といった分野で留学している日本人が、海外で空手と出会い、習い始めることもよくあるそうだ。

空手を和平のきっかけに

田中さんが海外で指導して一番驚き感動したことは、人種や思想に関係なく空手が受け入れられていること。
「混迷が続くイスラエルで、パレスチナ人とユダヤ人が同じ道場で学んでいることに、衝撃といっていいほど驚きました。あれほど政治的に対立する人たちが、空手という大きな屋根の下では、1つになれるのです。ますます空手を誇りに思いました。このことは日本ではわからなかったことです。海外で指導することの意義を強く感じました」と田中さん。空手は型を通して自分を見つめなおし、組手を通じて相手への思いやりに気づくこと。そして、品位のある人格をつくることが目的。道場は一種の神聖な場とも言える。だからこそ対立することがないのだろう。
「空手が中東和平のきっかけに役立って欲しい」。田中さんの夢が一日も早く叶うことを願う。
(取材・北中)

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