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掲載日: 2008.01.9

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愛荘町立愛知川図書館館長 渡部 幹雄さん(54歳・東近江市在住)

全国にある約3,000の公共図書館の中から、地域に根差した活動をしている図書館を選ぶ「Library of the Year 2007」。その大賞を昨年11月、愛知川図書館が見事受賞した。今回の素敵な人はこの図書館づくりの先頭に立って来た館長の渡部幹雄さん。

まちづくりにかかわる姿勢が評価

字が発行している広報紙の展示

「Library of the year 2007」の横浜市での選考会の様子

「Library of the Year 」とは、「NPO法人知的資源イニシアテブ(IRI)」が毎年授与する賞のことで、これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関に贈られる。
愛知川図書館には質の高い書籍がそろっているほか、地元企業のパンフレットから新聞の折り込みチラシ、飲食店のメニュー、字(あざ)が発行している広報紙に至るまで、あらゆる地域情報が集められている。また「蛍が観察できるポイント」や「メダカがいる池」や「お地蔵さんがある場所」といった「町おこしカード」の登録というユニークなシステムも活用している。このように「まちづくり」に積極的に取り組んでいる点や、図書館員がそれぞれ専門分野を持っていることが高く評価された。

利用者の立場で使いやすさを追求

まちづくりの核として、そして生涯学習の拠点として図書館は大変有効……これが渡部館長の図書館論。
渡部さんは大分県の緒方図書館、歴史民俗資料館や長崎県の森山町立図書館(現諫早市立森山図書館)、郷土資料館、総合体育館の開設に携わった。その実績が高く評価され、愛知川図書館の初代館長として迎えられた。
渡部さんはまず「図書館が皆のものになるにはどうしたら良いか?」を考え、住民がどんな図書館を望んでいるのかを、聞きに回ることから始めた。
建物から書架、また併設する「びんてまりの館」や敷地内に広がる公園に至るまで、細部にわたって渡部さん自身も設計やデザインに参加し、とことん「利用者の立場に立った使いやすさ」を追求した。

地域格差のないサービスを

渡部さんが設置した親子がくつろげる緒方図書館のじゅうたんスペース

渡部さんの図書館に対する情熱は、自分自身が図書館も書店もない長崎県の過疎地で育ったことによるという。
東京に出て都市部の図書館の多さに驚き、地域格差を痛感。義務教育と同じように、たとえ離島であっても都市部と変わらない図書館サービスを提供したいと強く願うようになった。

全国に広がる愛知川図書館の取り組み

取材日に来ていた図書館員の皆さんと(左から2番目が渡部さん)

愛知川図書館には他府県からの視察が絶えず、また渡部さん自身も北海道や長崎など各地の図書館が主催する講演会に招かれ、その取り組みは全国に広まりつつある。
「人それぞれ個性があるように、図書館にも個性があって良いと思います」と渡部さん。ますますのご活躍をお祈りする。          (取材・白崎)

 

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