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掲載日: 2008.02.6

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ロボ・ガレージ代表ロボットクリエイター高橋 智隆さん(32歳・大津市在住)

ロボットの研究、発明、開発、デザインなど、すべてを1人で行うロボットクリエイターの高橋智隆さんが今回の素敵な人。京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーにある「ロボ・ガレージ」を訪ねた。

世界が注目するロボット「クロイノ」

小学校低学年の高橋さん。紙でロボットや車を作っていたそう。

高橋さんが作る人間型ロボットは、従来の2足歩行ロボットが中腰でひざを曲げて歩くのに対して、人間に近いなめらかな動きを実現している。背筋を真っすぐに伸ばし、足を曲げたり伸ばしたりして歩くのだ。また、親しみやすいデザインも特徴。代表作「クロイノ」は、米国「TIME」誌の「2004年のクールな発明」特集で取り上げられた。高橋さん自身も「ポピュラーサイエンス日本版」(2005年6月号)の「未来を変える33人」に選ばれ注目を浴びた。

挫折をばねに決意を固めて

FT(エフティ)
身長35㌢、体重800㌘、製作期間13ヵ月

中学生のころから自分で改良した道具でバス釣りをするほど手先が器用だった高橋さん。立命館大学4年生の時に、半年かけて開発した自作のリールを持って釣り具メーカーの入社試験に挑んだ。自信満々だったが、まさかの不採用。この時ほど自分の将来について真剣に考えたことはなかったという。その結果「開発者の執念が伝わってくるようなもの作りをしたい」との思いを固め、1年勉強した後、京都大学工学部に再入学。それを機に自作ロボットを作り始めた

ベンチャーコンテストで連勝、起業家に

作業風景

1年生の時に初めて作った2足歩行ロボットの技術が商品化されたのをはじめ、高橋さんのロボットは学生を対象とした数々のベンチャーコンテストで優勝。卒業した03(平成15)年には京都大学内に入居するベンチャー企業の第1号として「ロボ・ガレージ」を立ち上げ、起業家としての第一歩を踏み出した。小さなころからの夢だった「ロボットを作る生活」が現実となった現在は、ロボットの開発以外にも大阪電気通信大学で教壇に立つなど、多忙な毎日を送っている。

ひたすら頭の中のイメージを形にする

高橋さんが参加する「チームOSAKA」の試合。「ロボカップ2007アトランタ世界大会」ヒューマノイドリーグで4連覇した。ロボットは「VisiON 4G」(左と中央)

「新しいロボットを作るとしばらくは満足しているのですが、そのうちもっとああしたい、こうしたいという思いが膨れ上がってきます。それが次のロボットを作る原動力になります」と高橋さん。設計図は描かず、ひたすら頭の中のイメージを半年から1年以上かけて形にしていく。ひらめきは突然やってくるので、寝る前には枕元にノートとペンを必ず準備するそうだ。

後に続く小さな後輩たちへ

ロボット好きの子どもたちへのメッセージをお願いすると「算数と理科をしっかり勉強してください。失敗を恐れず、まずは作ってみること。失敗は必ず次の作品に生かされるから、もの作りは面白いのです」と答えてくれた。より人間に近い動きをするロボットを目指す高橋さん。将来は琵琶湖の見える場所にロボ・ガレージの工房を建て、自分のロボット技術を世界に提案していきたいとのこと。今後の活躍が楽しみだ。
(取材・高井)

 

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