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掲載日: 2008.04.16

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画家 小西豊海さん

日本画のジャンルの一つ、美人画の画家として国内外で高い評価を受けている小西豊海さんが今回の素敵な人。「近江の女性」をテーマに描いた作品は高く評価され、02(平成14)年には世界最古の伝統と歴史をもつフランス官展「ル・サロン展」で入選を果たした。

幸せ探しのつもりで

フランス「ル・サロン展」にて

美人画とは、女性の容姿や内面から出る美しさを描いたもので、江戸時代に親しまれた浮世絵に原点がある。
小西さんが美人画を描き始めたのは、娘の彩音さんの病気がきっかけだった。
10年ほど前、当時1歳だった彩音さんは急性リンパ性白血病と診断され、深刻な事態に陥った。
1年半にも及ぶ闘病生活の末、やっと病気を克服したが、常に再発の不安を抱えながらの毎日。そんな時、その心のひだを取り払う作業、幸せ探しのつもりで美人画を描いてみた。描き始めると無心でいられる時間が心地よく、完成したときの達成感に夢中になった。
独学で絵の勉強を始め、1年たった99(平成11)年に「関西扇面美術展」に初出品、京都新聞社賞を受賞した。また東京都美術館で行われた「太陽美術展」では銀賞を受賞し、ル・サロン展への出品を勧められるまでになった。

絵に込められた娘への思い

小西さんにとって絵を描くことは、自分のためだけでなく、彩音さんへのメッセージでもある。目標を持って取り組む自分の姿を見せることで、彩音さんにも生きる希望を持ってほしいと願った。「娘が病気にならなければ、絵を描くことはなかったかもしれません」と小西さん。絵のモデルのような大人になるまで生き抜いてほしい……。これまで描いてきた美人画には、彩音さんへのそんな思いが込められている。

感謝の気持ちを形に

近江の雨情(2006年)

桜化粧(2007年)

小西さんは「長い間辛い治療に耐え、懸命に生きようとしている娘の姿に、強い生命力を感じました」と話す。娘が病気になったことを使命と受け止め、病気で苦しんでいる人たちに、希望に満ちた前向きな生き方を伝えることにした。これまで各地で講演を行ったり、病気を克服するまでをつづった本を出版した。
さらに今月は「チャリティー美人画展」を開き、収益金を骨髄バンクへ寄付する。彩音さんが元気になったことへの感謝の気持ちを込めてのことだ。
「病気で苦しんでいる人たちを少しでも勇気づけたい」と小西さん。将来は彩音さんが得意な書道と自分の絵を合わせて親子の二人展をパリで開くことが夢。これからも絵を描き続け、病気と闘う人たちに勇気と希望を与えてほしい。
(取材・澤井)

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