照明作家 村井 賢治さん (29歳・東近江市在住)
全国的にも珍しい、銅を使った照明器具を作る照明作家の村井賢治さんが、今回の素敵な人。
周囲を田んぼに囲まれた静かな環境のアトリエへお邪魔し、お話を伺った。
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全国的にも珍しい、銅を使った照明器具を作る照明作家の村井賢治さんが、今回の素敵な人。
周囲を田んぼに囲まれた静かな環境のアトリエへお邪魔し、お話を伺った。
電気工事士だった父親の背中を見て育った村井さんは同じ道を目指し、97(平成9)年に県内の工業高校電気科を卒業。電気工事の仕事に就いた。
小さいころからデザインに興味があり、中学生の時には部屋中を白黒に塗ってしまったという、こだわりの持ち主。電気工事の仕事に就いてからも、単に工事をするのではなくいかに美しく配線にするかなど、常にデザインにもこだわっていた。
そんな村井さんが照明器具を作り始めたのは就職してから2年たったころ。身近にあった素材(銅)のおもしろさにひかれたのがきっかけだった。
銅は人類が始めて使った金属といわれる。銅は耐久性に優れ、殺菌作用が有り、人に優しい金属だと知り、ますます銅への興味が深まっていった。それ以降、我流で銅の加工方法を研究した。
同時に、仕事で電気の怖さを良く知る村井さんは、05(平成17)年、照明の制作販売をするために電気用品安全法(PSE)に基づく製造許可をとった。PSEは取得するのが難しく、個人で許可をとるものは珍しいという。取得までの1年間は仕事に勉強に創作にと寝る間も惜しんだ。
06(平成18)年、創作に本格的に取り組もうと転職を決意し、アトリエ「Key-men」を設立。神戸にて初個展を開いたところ、その優れたデザインとオリジナル性に多方面の注目を浴びた。
「照明器具は主役を引き立てるための道具。存在を主張しすぎない銅は脇役にぴったりの素材です」と村井さん。今では華道家や写真家などの展覧会で照明担当として活躍することも多い。
創作のコンセプトは「空気に色をつける道具」だそうで、何もない空間が作品ひとつで違う空気になったとき、やりがいを感じるという。
昨年には近江八幡の町屋を活用し、複数のギャラリーやカフェが同居する「尾賀商店」を仲間らと立ち上げた。
村井さんの「showroom『switch』」では銅の照明がバッグや帽子を優しく照らす。
「原点は照明器具だが、照らすものによって活動の幅が変化していく。尾賀商店もその一環であり、今後も良い意味で貪欲にチャレンジしていきたい」と村井さん。
素顔は3児の良きパパ。自分と同じように、子ども達が働く父親の背中から何かを感じとってくれたら……とほほ笑む。
照明作家として、また、父親として、この先の人生を優しい明かりで照らしていってほしい。 (取材・福本)
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