柔道六段 片桐清司さん(61歳・伊香郡高月町在住)
こどうかん今年6月、ベルギー・ブリュッセルで行われた「第10回世界マスターズ柔道大会」で銅メダルを獲得した片桐清司さんが今回の素敵な人。片桐さんが指導する「虎道館」でお話を伺った。
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こどうかん今年6月、ベルギー・ブリュッセルで行われた「第10回世界マスターズ柔道大会」で銅メダルを獲得した片桐清司さんが今回の素敵な人。片桐さんが指導する「虎道館」でお話を伺った。
「世界マスターズ柔道大会」とは、現役を退いた30歳以上の柔道家が年齢別・体重別に分かれて競う世界大会。
片桐さんは今回で4回目の出場となる。初出場の03(平成15)年には優勝するなど、輝かしい成績を収めてきた。
今大会、片桐さんは前回の81㌔級から減量してM7(60~64歳)、73㌔級に出場したが、予想に反して1回戦で敗退。しかし、敗者復活戦では一本勝ちし、見事第3位、銅メダルを獲得。
「初戦で負けた時は、全身から血の気が引きました。敗者復活戦では、日の丸を背負っている! と、強く意識しました」と片桐さん。
中学から柔道を始め、滋賀県警察に入った。5年間代表選手として活躍した後、警察学校の教官として多くの警察官を育ててきた。
警察官引退後は会社顧問を務めるかたわら、地元の中学、高校の柔道部や柔道スポーツ少年団「虎道館」で指導に当たる。
「昔も今も、子どもたちは変わりません。時には厳しく指導することもありますが、愛情のある厳しさを子どもたちはちゃんと理解しています。子どもたちに知ってほしいのは、柔道で体を動かすことの喜び、礼儀作法、人へのいたわりと思いやりの大切さです」と片桐さん。
マスターズに出場するようになり、メダルに手が届くようになった体験から「今は弱くても、頑張って続けていれば、いつかは強くなる可能性がある。耐えることが少ない今の子どもたちに、続けていくことの大切さを教えたい」と語る。
道場の壁に「術なき道は空論にして、道なき術は危険である」という片桐さんの言葉が張られている。これは「友達相手に技をかけ、見せびらかすような軽い考えを戒め、身の危険を感じたときには、戦って我が身を守れ」という意味だそうだ。技だけでなく、生きていく上で大切なことを子どもたちに伝えたいという思いがあふれている。
現在、週に5日は畳に上がり、現役時代よりも多くの時間を道場で過ごす片桐さんにこれからの目標を尋ねると、「私の前を行く先生がいらっしゃいます」この先生とは、同大会の80歳以上の部で金メダルを獲得した太田尚充八段(82歳・青森県)のこと。「太田先生の姿を拝見していると、僕もまだまだ柔道が続けられる。一生涯柔道家でありたい。子どもたちを育ててゆく手伝いができればと、心底、思います。教え子の成長と活躍が何よりも楽しみです」と笑顔がこぼれた。
「こんにちは、お願いします」、大きな声であいさつをしながら元気に子どもたちが練習にやって来た。片桐さんの思いはこの先「虎道館」の子どもたちにしっかり受け継がれていくであろうことを確信した。(取材・高原)
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