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掲載日: 2009.02.11

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観光イチゴ園サンシャインヴィレッジ 園主 寺田 忠良さん(53歳・栗東市在住)

10年前、全国でも珍しい全面バリアフリーのイチゴ園を作り、今また「白イチゴ」の栽培に成功して全国的に話題を呼んでいる寺田忠良さんが今回の素敵な人。
イチゴ園にお邪魔し、お話を伺った。

地上1メートルでの栽培

寺田さんのイチゴ園には段差がなく、通路も広い。車椅子を使う障がい者、高齢者、ベビーカーに乗った幼児などでも気軽にイチゴ狩りを楽しむことができる。イチゴを収穫しやすい地上から約1㍍の高さにベッド(苗床)を組む「少量土壌ベッド栽培」なのも、バリアフリーが実現した大きな要素だ。
また、この栽培方法なら土や水が少なくて済み、水分量の調節ができるので糖度の高いおいしいイチゴが収穫できる。人にも環境にも優しい農園だ。

きっかけは母親の介護

サラリーマンだった寺田さんがイチゴ園を始めたのは10年前。
会社員として働くよりも、自分の手で最初から最後までやりとげる仕事がしたいと考え、農業に転職。「子どもからお年寄りまでみんなに愛されているイチゴを作ろう」と夫婦で始めた。
さらに、「同じやるなら人と違うことを」と、県の試験場が開発し、当時はめずらしかった少量土壌ベッド栽培に注目。自分でイチゴのハウスやベッドを組み立てるうちに、車椅子が通れる通路幅にすることを思い立った。
寺田さんは、車椅子生活を余儀なくされていた母親の介護経験があり、車椅子を身近に感じていたからだ。自分で車椅子に乗り、通路の幅を何度も確認した。ハウス入口の段差の解消に工夫を加えたり、車椅子用トイレを設置するなど、バリアフリーイチゴ園の実現にこぎつけた。

来園者に伝わる思い

「開園当初はバリアフリーという言葉が一般的でなかったので、障がい者専用農園と思われていたようです。来園された方の状態に合わせて対応するのが大変でした」と、寺田さん夫妻は当時を語る。さらに「最近、同じようなバリアフリー農園が開園されているようですが、安易な気持ちで始めてほしくない」と力説する。
開園以来、寺田さん夫妻の真摯な姿勢が理解され、来園者が増えている。

今春は「紅白イチゴ狩り」

ベビーカーや車椅子がゆったりと通れる広い通路

現在、雨でもイチゴ狩りが楽しめるようにハウスとハウスをつなぐ屋根付き通路を整備する一方、昨年から新しい試みとして、熟しても赤くならない白いイチゴ「初恋の香り」を栽培している。試しに一粒いただいたが、色が白いにもかかわらず、甘みが強く、とてもおいしかった。
白いイチゴは、まだ国内数箇所でしか栽培されておらず、マスコミで取り上げられたこともあって、全国から予約が殺到。出荷が追いつかないという。今春、全国で初めてこの農園では「紅白イチゴ狩り」が楽しめる。
次々と新しいことに取り組む寺田さんに、その訳を聞いてみると「前に向かって進んでいないと不安なだけです」と、サラリとした答えが返ってきた。
寺田さんの挑戦は、これからもまだまだ続くに違いない。    (取材・福本)

 

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