甲南中学校科学部の皆さん(甲賀市)
科学の甲子園とも言われる「日本学生科学賞」で見事入選1等を獲得した甲賀市立甲南中学校科学部の皆さんが今回の素敵な人。身近な疑問だった「グラウンドに生えるワカメの謎」の解明に取り組み、3年がかりの研究が受賞につながった。
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科学の甲子園とも言われる「日本学生科学賞」で見事入選1等を獲得した甲賀市立甲南中学校科学部の皆さんが今回の素敵な人。身近な疑問だった「グラウンドに生えるワカメの謎」の解明に取り組み、3年がかりの研究が受賞につながった。
日本学生科学賞は日本で最も伝統ある中学生・高校生のための科学自由研究コンテストである。
今年は応募総数が過去最多の約8550点もあった。その中から22校が東京で開かれた中学校共同研究の部の中央審査へ進み、同校が見事1等に輝いた。
受賞した「グラウンドに生えるワカメ」の研究は3年がかりのもので、初年度の06(平成18)年は全国入選3等、07(平成19)年は県最優秀賞を受賞。そして今回、念願の入選1等に輝いた。
同校の科学部の歴史は古く、これまで「甲南町における落雷の研究」で内閣総理大臣賞受賞、「手裏剣の軌跡の研究」などで入選している。
今回、研究テーマとなった「グラウンドに生えるワカメ」とはイシクラゲと呼ばれるもので、グラウンドや空き地など、いろいろな場所で目にすることができる。
「これは何?」そんな誰もがふと抱く身近な疑問から科学部の研究は始まった。
1年目はイシクラゲの性質、2年目はその分布の状況について研究を進めた。
「研究が進めば進むほど、新たな疑問が生まれてくるものです」と顧問の木田幹人先生。先輩から後輩へと、研究が受け継がれてきた。
1年目と2年目の研究から、平たいイシクラゲを水に浸すと、球体が混ざることが分かってきた。しかし内部の正体は謎のままだった。
そこで今回、3年目は球体が自然の状態でもできるのか、またその内部や理由が何なのかを調べることになった。
まず、自然界における球体化現象を調べるために、グラウンドで採取したイシクラゲを水で拡散させ、できた無数の断片を球体に近い順に分類した。その作業はとても細かく大変だった。
粘り強く観察方法を工夫した結果、球体は自然界でも存在し、水分保持のために内部に水を蓄えていることがわかってきた。
「まず、仮説を立て、次に実験方法を工夫し、最後に実験結果を分析して結論を導き出します。地味な作業ですが、生徒たちは自由な発想で科学を楽しんでいます」と木田先生。
昨年12月の中央審査会には科学部を代表して部長の幸崎涼君(2年生)、副部長の原翼君(2年生)と前部長の橋本昭平君(3年生)の3人が出席し、研究の成果を発表した。
表彰式には秋篠宮両殿下をはじめ、宇宙飛行士の毛利衛さんも列席され、彼らにとって思い出深い一日となった。
「とても緊張しました。でも感激しました。来年も引き続きイシクラゲを研究し、今年以上の賞をめざします」と部長の幸崎君。
「科学の魅力は?」と、最後に皆さんに質問すると「わかることが楽しい」と、笑顔で返事が返ってきた。今後の活躍を期待したい。(取材・福本)
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