フランス・ストラスブール国立音楽院 ギター講師 クラシックギター奏者 辻 英明さん (36歳・近江八幡市出身)
単身フランスへ渡り、現在はストラスブール国立音楽院ギター講師として指導にあたる辻英明さんが今回の素敵な人。ヨーロッパ各地でライブ活動も展開、三味線を使って日本の伝統文化を紹介するなど活躍している。夏休みで帰国中の辻さんにお話を伺った。
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単身フランスへ渡り、現在はストラスブール国立音楽院ギター講師として指導にあたる辻英明さんが今回の素敵な人。ヨーロッパ各地でライブ活動も展開、三味線を使って日本の伝統文化を紹介するなど活躍している。夏休みで帰国中の辻さんにお話を伺った。
中学生の時、ランディ・ローズにあこがれ、クラシックギターを始めた辻さんは、高校に進学してからも、ますますギターにのめり込んでいった。本格的に音楽の道に進もうと決心し、高松短期大学音楽学部に入学。短大で師事した先生がフランス留学の経験者だったこともあり、辻さんは留学を決意。大学卒業後、93(平成5)年10月、単身フランスに渡った。当時の心境を尋ねると、「不安よりも、喜びの方がはるかに大きかったですね」と、キッパリ。
若さの勢いで、フランスに渡ったものの、たちまち言葉や生活習慣の壁にぶつかり、戸惑うことが多かった。ニースで1年、リヨンで2年、パリで3年暮らし、ストラスブールへ移った。民族音楽をテーマにした舞台に出演したことがきっかけで音楽に対する考え方を大きく変えた。「いろいろな国のミュージシャンと交流して、彼らは自分たちの音楽を伝えるためにフランスに来たことを知りました。自分は何のためにフランスに来たのだろうと、疑問を持つようになりました」と振り返る。海外に向けていた気持ちを一転、日本へ向けてみようと決心し、帰国した。
帰国後、日本の文化に目を向けた辻さんは津軽三味線に興味を持つようになった。旅芸として発達してきた津軽三味線には決まった形がないことに刺激を受け、自分の表現ができると確信した。表現の幅を広げた辻さんは再びフランスへ戻り、機会を見つけて三味線を演奏し、注目を浴びるようになった。この結果、ルーブル美術館の企画展に三味線で参加し、02(平成14)年には仲間らと「ionah」を結成。フランス、イタリア、スペイン、ドイツなど各地でライブを開いた。クラッシクギターだけでなく、新しく三味線をレパートリーに加えた辻さんは、「西洋と日本が融合した新しい分野を切り開くことで、音楽に貢献していかなければならないと思うようになりました」と話す。以後、日本で出会った和楽器集団「独楽」をフランスへ呼び、ionahと一緒にライブをするなど、新しい活動にも取り組んでいる。
厳しい努力を積み重ねた辻さんは04(平成16)年、フランス国立音楽院のギター講師に就任。以来、夏休みには帰国し、日本でのライブ活動に精を出している。今後の目標を尋ねると、「フランスで知り合った世界各国のミュージシャンを日本に招き、いろいろな音楽を日本に紹介していきたい」と語った。(取材・福本)
※ランディ・ローズオジー・オズボーン・バンドのギタリスト。1982年、全米ツアー中に遊覧飛行で乗ったセスナ機の墜落事故により25歳の生涯を終える。
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