竜王西小学校絵本を読む会 「ぽえむ」の皆さん(竜王町)
竜王西小学校の読書ボランティアとして活動する、竜王西小学校絵本を読む会「ぽえむ」の皆さん。
その活動は子どもたちに読書の良さを伝えるだけにとどまらず、地域に伝わる民話や伝説を大型紙芝居にして読み聞かせるという、まさに現代の語り部としての役目を担っている。
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竜王西小学校の読書ボランティアとして活動する、竜王西小学校絵本を読む会「ぽえむ」の皆さん。
その活動は子どもたちに読書の良さを伝えるだけにとどまらず、地域に伝わる民話や伝説を大型紙芝居にして読み聞かせるという、まさに現代の語り部としての役目を担っている。
中山道が通る竜王町は昔から交通の要衝としてたくさんの人がさまざまな文化をもたらした地。そこには多くの民話や伝説が残る。
読書ボランティア「ぽえむ」では、地域に伝わる話を自分たちの手で大型紙芝居にして発表している。
源義経が元服したとされる鏡地区を題材にしたものや、国宝「苗村神社」のいわれ、「竜王寺」に伝わる悲恋の物語……など、身近な場所やものが登場する紙芝居に子どもだけでなく大人も引き込まれる。
「ぽえむ」の原点は竜王西小学校の読書ボランティア。2000(平成12)年から校内で絵本の読み聞かせなど、子どもと本をつなぐ活動を続けてきた。
学校で子どもと触れ合ううちに「竜王町の将来を担う子どもたちにもっと郷土のことを知ってほしい」との思いが強まった。そこでメンバーの中から有志8人が集まり、01(平成13)年に県の「湖国21世紀記念事業」認定事業として、竜王町鏡に伝わる民話「比良八荒」を大型紙芝居にしたのが始まりだ。その後、毎年1作のペースで制作している。
紙芝居に取り組む理由は、仕事を持つメンバーも分担して作業できることと、少人数でも発表できること、視覚にも訴えて話を伝えやすいことだ。
民話は、すべて現地に出かけて地元の人の生の声を聞いて紙芝居にする。
「話に込められた人々の思いも伝えたいのです」と代表の大橋裕子さん。
実際に現場で話を聞くと、人によってとらえ方や思いが違うことがあり、話のどの部分を取り上げるかを絞るのに苦労する。
「素人の集まりですから絵が下手なのが難点です」と大橋さんは笑うが、当時の生活様式や服装を調べて背景まで詳細に描く。現地で録音した音を流して臨場感を出したり、オリジナルのテーマソングを創作したり、手間ひまかけ愛情込めて作っている。
取材日は7作目となる「近江牛を愛し育てる人たち」が児童の前で発表されていた。竜王町の特産品、近江牛を全国に広めた竹中久次氏を題材にした明治時代の話で、何度も牧場へ足を運び話を聞いて作りあげた渾身の一作。現在の牧場の様子と久治の話をうまく絡ませた14ページの作品である。
「どの話も奥が深く、知れば知るほど面白い。この民話の面白さを通して子どもたちの心に郷土愛が芽生えることを願っています」
今後は民話だけでなく、地域に伝わる祭礼や伝統行事にまつわる話なども取り上げたいという。
(取材・福本)
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