自然派パン工房 ふるさとの道 工藤 祐義さん・礼子さん (東近江市在住)
のどかな田園風景が広がる東近江市五個荘七里町で「自然派パン工房ふるさとの道」を営む工藤祐義さんと礼子さん夫妻は、素材にこだわった天然酵母のパンを愛情込めて手作りしている。
素朴で温かみあるパンは「安心して食べられる」と、人気を呼んでいる。
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のどかな田園風景が広がる東近江市五個荘七里町で「自然派パン工房ふるさとの道」を営む工藤祐義さんと礼子さん夫妻は、素材にこだわった天然酵母のパンを愛情込めて手作りしている。
素朴で温かみあるパンは「安心して食べられる」と、人気を呼んでいる。
1日に12種類ほどのパンを焼くが、焼き上がると同時に次々と売れ、店の棚は常に品薄状態になっている。
「毎朝、ふくらんだパンを見て『酵母が生きている!』と胸がわくわくします。自然の恵みが響き合い、生かし合っている。私たちも同じ。多くの人に支えられてここまできたと感謝しています」と夫妻は言う。
晩婚だったため、祐義さんがサラリーマンを定年退職した97(平成9)年は、子どもがまだ高校生と大学生だった。「何か仕事をしなくては」と模索する中でパンを焼くことを思い立った。
礼子さんは結婚したときから食の安全に興味があり、本で天然酵母(ホシノ酵母)を知ってホシノ酵母の会にも入会していた。田舎暮らしや農業にもあこがれがあり、パン教室にも通っていた。
01(平成13)年、農産物を直売している五個荘の農園を見に行き、農園主に「天然酵母のパンを焼いてみたい」と話すと、パンを作る場所を貸してもらえ、販売もしてくれることで話がまとまった。
祐義さんが、農園に住み込んで作業に入り、パン作りの基礎を学ぶために富山のパン屋で1カ月ほど修行も積んだ。
05(平成17)年、農園の近くで民家を貸してくれる人が現れ、自分たちだけの店舗を構えることになった。
天然酵母は環境の変化で発酵が異なるため、素晴らしい味を生み出す可能性がある反面、雑菌による酸味を生むこともあり扱いづらい。生地を12~15時間寝かすのが理想で、仕込みが深夜まで及ぶこともある。
「全くの素人だったので、怖いもの知らずで天然酵母に取り組めたのでしょうね。最初はパンが硬くなったり、酸っぱくなったり……だからこそ次はもっとおいしいものをと夢中になりました」
工藤夫妻がこだわるのは食の安全と安心。
ポストハーベスト農薬(※)を使わない国産小麦(岩手産南部小麦ほか)と、天然酵母(ホシノ酵母)を使用。塩は精製工業塩ではなくミネラルが多く含まれる自然塩、砂糖は精白していないキビ糖を使う。具材には地元で採れた豆や野菜、ゴマ、雑穀などをふんだんに使い、素材の風味を生かした味わい深いパンを作っている。
「授乳中に出合って以来、ここのパンばかり食べています。子どもにも安心して与えられます」「かみしめるほどに味わい深く、飽きのこない味です」など、お客さんの喜びの声がパン作りの原動力になっている。
「おいしいと言われるとうれしくてがんばろうと思えます」
最近は保育園などからおやつの注文もくるようになった。「小さい子どもにこそ自然の恵みを味わってほしいです」
いずれは、自分たちで育てた有機野菜を素材に使うことも考えているといい、安全でおいしいパン作りを探求し続けている。
(取材・福本)
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