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掲載日: 2010.11.10

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木工職人 中川 周士さん(大津市在住・42歳)

一時はほとんど姿を消していた木おけやおひつが、エコやスローライフブームの影響で、改めて注目されている。繊細で正確な仕上がりの木おけやおひつから現代的なデザインのワインクーラーまで、中川さんの木工世界は幅広い。

最初は鉄だった

最初は「木」ではなく「鉄」だった。
父は人間国宝(重要無形文化財保持者)の木工職人で、祖父も木おけづくりに携わった木工一家に生まれた。小さいときからかんなくずをおもちゃの一つに育ち、切ったり張ったりする物作りが大好きだった。
しかし、木工職人になるのが当たり前の家に生まれ、敷かれたレールにそのまま乗るのが嫌で、高校を卒業すると美大へ進み、鉄のアートを作り始めた。
大学を卒業すると、平日は父の工房に勤めたものの、週末は鉄のアート作りに没頭した。
ところが、次第に生き物である木が持つ温かな風合いや、0.1㍉単位の精度が要求される技への挑戦、長期間の乾燥が必要なため「時間がはぐくむ芸術」とも言える木工の世界に魅力を感じるようになった。

使うかんなは300丁

7年前に比良山の麓に工房を構えて独立した。大学時代、山岳部でよく合宿していた懐かしい場所。自然が豊かで丸太を乾燥させる十分な場所もある。木工、陶芸、ガラスなどの作家が100人ほど住んでいて、互いに交流して切磋琢磨できるのも楽しい。檜のいい香りがする工房にかんなをかける音が響き、ぐいのみやおひつなどさまざまな木工製品が生み出されていく。
丸太を2~5年乾燥させ、割鎌で小割りしてからさらに半年間乾かす。削って組み合わせてまた削ってという調整を繰り返す。
木おけやおひつは20枚ほどの板を組み合わせて作るため、1枚が0.1㍉狂うと、全体に2㍉もの狂いが出てしまう。かんなによる微調整が一番難しく、木の大きさや形によって300丁を使い分ける。すべて手作業のため1日1、2個しか作れない大変な作業だけに、完成が近づくとわくわくしてくる。

100年使える物作り

木おけやおひつなどはパーツを取り換えると100年でも使える。「樹齢100年の木を使って100年使える」木工製品作りを中川さんは目指している。
「おひつに入れた冷やご飯は、余分な水分を木が吸収するので、甘みを感じます。近所の農家の方に愛用していただいて好評です」
木おけやおひつだけでなく、現代的なデザインのワインクーラーも好評を博している。全国の百貨店などで定期的に展覧会を開き、興味を持ってもらうために、おけ作りの実演や、はし作りのワークショップを開いている。
「物作りには天井がなく、できるようになるとまた次の目標ができて―ということが、永遠に続く気がします」
木工製品は乾燥すると縮むため、日本と違って湿度の低い海外でも通用する物作りにも挑戦したいと考えている。
(取材・鋒山)

 

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