墨絵・写真アート作家 諫山 亜由美さん(大津市在住)
実写した手の人さし指の先には墨絵で描かれた一輪の花―。諫山亜由美さんの墨絵と写真を組み合わせたオリジナルのアート作品は、自由な発想が生かされていて、見る人を不思議な気分にさせる。
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実写した手の人さし指の先には墨絵で描かれた一輪の花―。諫山亜由美さんの墨絵と写真を組み合わせたオリジナルのアート作品は、自由な発想が生かされていて、見る人を不思議な気分にさせる。
墨絵の下書きは一切しない。インスピレーションで描く。不思議と絵柄がふわっと頭に降りてくるという。早ければ15分で仕上がるが、墨が乾いてから細かい部分を描き足していき、1週間ぐらいかけることもある。
最初は絵筆で描いていたが、満足いく線を描けずにいた。そんなとき、墨で固まってしまってばっさり毛を切った筆を家の中で見つけた。試しに描いてみると、とてもきれいな線になった。
「人から見たら墨が固まってくっついているただの棒ですが、私にとってはなくてはならない大切な1本の筆です」
子どもの頃から暇があれば絵を描いていた。短大の造形学科に学び、社会人になってからは、趣味で絵や写真を撮っていた。結婚や出産を経て、子どもが2歳になった頃からは、寝かしつけた後に絵を描くようになった。最初は絵の具を使っていたが、墨で描いてみると、インパクトの強さや、墨が乾いた後の光沢の美しさのとりこになった。
写真のコンテストにも出品すると、相次ぎ入賞して、本格的に取り組みたくなった。
大好きな墨絵と写真を組み合わせた新しいアートを作ろうと考えた。
壁に墨絵を掛け、自分の手や体を写り込ませて、セルフタイマーで撮影する。写真の明るさや手の位置など、納得がいくまで何度も撮影を繰り返す。手間はかかるが妥協はしない。作品ができ上がったときの喜びは大きかった。
諫山さんの墨絵は水墨画とは味わいが異なり、写真と組み合わせることで独自の世界を切り開いている。
これまでに墨絵を約100点と、墨絵と写真を組み合わせた作品を約30点制作、東京や大阪で個展も開いている。地元滋賀では、今年7月に5人のアーティストと「モノクローム写真展」を開き、新感覚の墨絵・写真アートとして評判になった。
今月18日から近江八幡市のかわらミュージアムで、大阪在住のアーティスト南公二さんと「セピア×モノクローム展」を開く。南さんの猫をモチーフにした人形の背景に墨絵を飾る。二つの全く違うもののコラボレーションが見ものだ。
来年は、諫山さんの墨絵がTシャツやバッグ、浴衣などに商品化される予定。
「墨絵のデザインがアニメのように動き出すなど、映像化するのも面白いかもしれませんね」
自由な発想、偶然から生まれたアートは新たな展開を見せそうだ。
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