石橋愛好家 森野 秀三さん(甲賀市在住・53歳)
全国各地の石橋や天井川をくぐる石のトンネル「まんぽ」の探索・撮影を続けている森野秀三(もりのしゅうぞう)さん。滋賀県の風土を物語る貴重な文化であるまんぽをもっと知ってもらおうと多数の展覧会を開いてその価値を訴え続けている。
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全国各地の石橋や天井川をくぐる石のトンネル「まんぽ」の探索・撮影を続けている森野秀三(もりのしゅうぞう)さん。滋賀県の風土を物語る貴重な文化であるまんぽをもっと知ってもらおうと多数の展覧会を開いてその価値を訴え続けている。
森野さんが「日本の石橋展」と題した写真展を初めて開いたのは1991年。
きっかけは、森野さんが店長をしていた洋服店の販売促進の一環だった。
テーマを「石橋」にしたのは、洋服店の場所が阪急電鉄の石橋駅(大阪府池田市)に近かったからであり、大きな意味は無かったという。
各地の自治体から石橋の写真60点余りを借り集めて開いた写真展は、予想外に好評を得た。
以来、森野さんは石橋のデザインや芸術性に強くひかれるようになり、休日を利用して全国へ石橋の撮影に出かけるようになった。
地元の人の話を聞いてみると、それぞれに歴史や文化があり感心することが多く、ますます引き込まれていった。
第2回の「石橋展」は建築関係者などにも好評で、勤務していた会社がウェブサイトに「石橋展のコーナー」を作ってくれた。
こんな風に始まった「日本の石橋展」は毎年回を重ねていった。
石橋を求めて全国を歩いているうちに、滋賀県湖南市の大沙川隧道(おおすながわすいどう)が1884年に造られた日本最古の「天井川を支える石トンネル」だということを知った。地元では「吉永のまんぽ」と呼ばれている。
湖南市には夏見・針にも86年に造られた由良谷川隧道(ゆらだにがわすいどう)がある。
「まんぽ」とは鉱山の「間歩(まぶ)」という穴からきたともいわれ、地域により「まんぼ」「まんぼう」「まんぼり」などと呼ばれている。しかし、地元ではほとんど詳しいことは知られていない。
「どちらも旧東海道沿いにありますが、往来する人のほとんどがその存在価値に気づいていないのが残念です」と森野さん。
森野さんは県政史料室の協力を得て古い資料からまんぽの設計図や絵コンテを発見した。今年2月、琵琶湖博物館で開いた石橋展で写真と共に展示した。
仕事や両親の介護の合間をぬって訪ね歩いた「石橋」や「まんぽ」は約800カ所。
最近ではほぼ毎日「石橋探偵のブログ」を更新している。
全国を飛び歩く森野さんのエネルギー源を尋ねてみたら「楽しむこと」という答えが返ってきた。このインタビューで「おちゃめな人柄」「並外れた好奇心」「パワフルな行動力」を強く感じた。
最近は、江戸時代から昭和にかけて造られた石橋を紹介する「甲賀十三橋めぐり」の企画を練っている。ほかにも「こぐり」と呼ばれる地下水路も研究していきたいという。
(取材・福本)
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