滋賀ロケーションオフィス 事務局長 油木 清明さん(大津市在住・64歳)
滋賀県内に映画やドラマなどの撮影を誘致し、観光振興を図るための組織「滋賀ロケーションオフィス」。運営を担うのは事務局長の油木清明(あぶらききよあき)さんら県のОBと職員4名だ。“素人集団”ながら手探りで始めた活動が実を結び、映画のロケは10年前に比べて2倍以上に増えているという。
滋賀県の観光ガイドやエリアガイド、グルメガイドなら滋賀ガイド。地域情報満載です!
滋賀県内に映画やドラマなどの撮影を誘致し、観光振興を図るための組織「滋賀ロケーションオフィス」。運営を担うのは事務局長の油木清明(あぶらききよあき)さんら県のОBと職員4名だ。“素人集団”ながら手探りで始めた活動が実を結び、映画のロケは10年前に比べて2倍以上に増えているという。
油木さんは県の職員として定年まで勤め、滋賀ロケーションオフィスの事務局長として再就職した。外国映画のアクションシーンは好きだったが、映画は全くの素人だった。さて、どうするか。迷いながら、映画、TVドラマ、CМなどロケの誘致を始めた。
手さぐりでのスタートだった。一方、撮影現場との調整、宿泊、レンタカー、ロケ弁当の手配などにも奔走した。
ロケは早朝からの場合が多く、朝5時の集合の場合、1時間前の4時には現地に到着。そのまま夕方、ロケが終わるまで帰れないこともあるという。
ロケ候補地を探し、制作会社に提案していくのも仕事だ。
各種のガイドブックを読んで現地を歩いたり、ロケ終了後は観光客の呼びこみや地域の活性化に結びつくように宣伝にも力を注ぐ。
「滋賀県は国宝や重要文化財の数が多く、東京、京都、奈良に続き全国で第4位です。加えて自然環境も豊かです。こうしたことから、ロケ誘致により観光振興を図るため頑張っています」
現在、エキストラに登録されている滋賀県民の数は3700人。その優秀さには定評がある。監督から急にセリフを渡されても上手にこなし、エキストラ同士がアドバイスし合い、チームワーク良く進めてくれるという。
例えば、ある披露宴シーンのこと。
監督から演技指導がされていないにもかかわらず、100人のエキストラが宴会の盛り上がりを上手に演じた。また、映画「武士の家計簿」では、雪が舞う百姓一揆のシーンを100人のエキストラが迫力いっぱいに演じ、撮影を盛り上げたという。
「皆さんがボランティアでご協力していただいているおかげです。早朝から夕方まで待機して撮影時間がたった30分という場合でも頑張ってくれます。『演技ができるだけでなく、マナーもよい』と監督やスタッフの皆さんから高く評価されています」
開設当初の2002年度は40件程度だった撮影が12年度には77件、映画は2倍以上、テレビドラマに限れば5倍に。さらに今年度は撮影が90件近くになる勢いだ。
映像制作会社も昔は関西が多かったが、最近は大河ドラマや映画など、関東からのロケも多くなっている。現在放映中のNHKテレビ小説「ごちそうさん」では八幡堀、五個荘、愛知川、高島など県内の各地でロケが行なわれている。来春公開の映画「偉大なる、しゅららぼん」の舞台も滋賀県だ。
ロケによる経済効果は大きく、大河ドラマ「江」の経済効果は36億円ともいわれている。
「自分たちの仕事が滋賀の観光や経済に貢献し、ロケ地を活気づけてくれるのが、何よりもうれしいですね」
(取材・鋒山)
本ページの情報は作成時のものであり、変更されていることがあります。あらかじめ御了承ください。