整形外科医 橋本 猛さん(大津市在住・76歳)
「生まれ育ったふるさとの思い出を残したい!」という思いから伊吹山に生息する花を撮り続けてきた橋本猛(はしもとたけし)さん。医師の仕事の傍ら、6年間にわたって撮影してきた264種類の花をまとめた写真集『伊吹山花散歩』(サンライズ出版)を、2014年3月に出版した。
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「生まれ育ったふるさとの思い出を残したい!」という思いから伊吹山に生息する花を撮り続けてきた橋本猛(はしもとたけし)さん。医師の仕事の傍ら、6年間にわたって撮影してきた264種類の花をまとめた写真集『伊吹山花散歩』(サンライズ出版)を、2014年3月に出版した。
「伊吹山の山野草の写真を撮ろう!」
そう思い立ったのは、橋本さんが70歳のとき。医師会役員の仕事も一段落したころだった。
もともとカメラが趣味だった橋本さん。60歳のときに『ハレの日のこどもたち』(京都新聞出版センター)という写真集を出版したが、本格的な花の撮影はしたことがなかった。伊吹山の山野草を撮ろうと思ったのは、中学時代に所属していた生物部の顧問の先生が、伊吹山へ植物観察に連れて行ってくれたことを思い出したから。当時は昆虫採集に一生懸命で、花に関心はなかったが、年をとってから花の美しさが分かるようになったという。近年、伊吹山の花々がシカやイノシシに食い荒らされて少なくなってきていることを知り、子どものころから毎日のように見て育ってきた伊吹山の花を、もう一度心にしっかり焼き付けておこうと決心した。
山野草の知識はほとんどなかったため、インターネットで下調べを行い、ガイドブック片手に登山に挑戦した。登ってみると、四季折々の山野草は想像していた以上のすばらしさだった。
休診日を利用して週2回、住まいのある大津から伊吹山まで、名神高速道路で約1時間半かけて通うようになる。登るたびに新しい発見があった。
カメラはデジタルではなく、フィルムを使う。そのため、現像するまで撮影が成功しているかどうかが分からない。露出やアングルを変えて何枚も撮影し、思った通りの写真が撮れていたときの喜びは例えようがないという。
とはいえ、山には危険が付きもので、登山道から3~4㍍も転げ落ち、指を骨折したこともあった。時期を狙って撮影計画を立てたにも関わらず、花が咲いていないこともあった。苦労した分、計画通りに花と出合えたときの感動は大きかった。
「めったに見られないキンバイソウの群生を見つけたときは、興奮して夢中でシャッターを切りました」
山へは1人で行くことが多かったが、現地で気の合う仲間と出会うこともある。
伊吹山の山野草の管理をしている森壽朗(もりじうろう)さんとは伊吹山を通じて親しくなり、花の咲いている場所や花の種類など教えてもらった。
どうしても目的の花が見つからず、山頂にある山小屋のスタッフに協力してもらうこともあった。めったに見つからないイブキスミレを見つけたときは、みんなで大喜びしたという。
また、6年間通う中で、地元の人が外来種の除去や遊歩道の整備などに力を尽していることも深く知ることができたという。
「7月上旬から8月上旬にかけて、山野草が見ごろを迎えます。伊吹山は人それぞれに合ったコースが選べるので、年配の方でも気軽に楽しめます」
(取材・鋒山)
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