指揮者 藤岡 幸夫さん(東京都出身・52歳)
2014年で17年目を迎える「関西フィルハーモニー管弦楽団 リラックスコンサート」。湖国滋賀の定番コンサートに育て上げたのが関西フィル首席指揮者で世界的に活躍している藤岡幸夫(ふじおかさちお)さんだ。指揮者と司会者の軽妙なトークと親しみやすい選曲は、リラックスした雰囲気で音楽の知識が身につくと評判を呼んでいる。
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2014年で17年目を迎える「関西フィルハーモニー管弦楽団 リラックスコンサート」。湖国滋賀の定番コンサートに育て上げたのが関西フィル首席指揮者で世界的に活躍している藤岡幸夫(ふじおかさちお)さんだ。指揮者と司会者の軽妙なトークと親しみやすい選曲は、リラックスした雰囲気で音楽の知識が身につくと評判を呼んでいる。
藤岡さんは幼児のころから、子守唄代わりにオペラの「椿姫(つばきひめ)」を聴いて育った。
「オペラでも聴かせておけば退屈して早く寝るだろう」という両親の安易な考えからだった。
その「椿姫」が全曲ではなく、ハイライト版だったことを知ったのは小学4年生のとき。全曲を聴いて感動し、将来指揮者になりたいと思ったという。
ピアノやチェロを子どものころから習っていて指揮者を目指していたが、両親は一般の大学を卒業してからでないと音楽の道に進むことを許さなかった。
慶応大文学部を卒業、なおも指揮者になりたいと言う藤岡さんに、両親は日本を代表する指揮者・渡邉暁雄氏のところに面談に行くことをしぶしぶ認めてくれた。才能がないと言われれば、藤岡さんが諦めると考えたからだ。しかし結果は逆で、その場で才能を見い出され、弟子として迎え入れられることに。藤岡さんは渡邉氏が亡くなるまでの5年間、師事した。
その後、日本フィルハーモニー交響楽団の指揮研究員を経て1990年、英国王立ノーザン音楽大学指揮科に入学。92年にはマンチェスターで最も才能がある英国人の若手指揮者に贈られる「サ―・チャールズ・グローヴス記念奨学賞」を日本人として特例で受賞。同年、ルトスワフスキ・フェスティバルで「管弦楽のための協奏曲」を作曲者の前で指揮し、英ガーディアン紙に「計り知れなく将来を約束された指揮者」と絶賛された。その後も次々と海外オーケストラと共演し、高い評価を受ける一方、NHK大河ドラマ「平清盛」の劇中音楽を指揮するなど多方面で活躍している。
関西フィルのリラックスコンサートは、98年に野洲文化ホールで始まった。
当初は会場にアロマの香りを漂わせた癒やしのコンサートだった。3回目から藤岡さんが加わり、大きく変わった。前半は楽しく分かりやすいトークで会場をリラックスさせ、後半は本格的に交響曲を味わってもらう。結果は大好評だった。
藤岡さんは自らを「クラシック音楽の伝道師」と呼ぶ。日本のクラシック音楽の未来は地方にどれだけその裾野を拡げられるかにかかっていると考え、12年前からは長浜、10年前からは高島に会場を広げ、湖国の定番コンサートとして定着させた。
9月7日の野洲公演の曲目は、藤岡さんの音楽の原点でもある「椿姫」。地元吹奏楽団と関西フィルとの共演も楽しみだ。
10月5日の高島公演は10回目を記念して、お祝いムードを盛り上げラベルの「ボレロ」やチャイコフスキーの大祝典序曲「1812年」を演奏。さらに当日観客の拍手で演奏曲を決定するという新企画も準備している。
「今までの歴史に甘んじることなく、これからもリラックスコンサートを進化させていきたいと思います」
(取材・福本)
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