大江 良一さん(大津市在住・60歳)
35歳以上の人たちによるマスターズ陸上で競技を楽しんでいる大津市の大江良一(おおえりょういち)さん。50歳から陸上競技を始め、55歳で100㍍12秒17の自己最高を記録し、2014年9月のアジアマスターズ選手権60~64歳の部で3冠(100㍍、200㍍、国別対抗リレー)に輝いた。還暦を迎えた今も選手として、指導者として活躍している遅咲きのスプリンターだ。
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35歳以上の人たちによるマスターズ陸上で競技を楽しんでいる大津市の大江良一(おおえりょういち)さん。50歳から陸上競技を始め、55歳で100㍍12秒17の自己最高を記録し、2014年9月のアジアマスターズ選手権60~64歳の部で3冠(100㍍、200㍍、国別対抗リレー)に輝いた。還暦を迎えた今も選手として、指導者として活躍している遅咲きのスプリンターだ。
小さいころから走るのは得意だったが、走ることが特に好きなわけではなかった。中学校で卓球部、高校では軟式野球部に所属、どちらも大きな成績は残せず、社会人になってからは趣味でスキーや野球を楽しんでいた。 そんな大江さんだったが、40代のころ、地区の運動会に参加して知人からこう言われた。 「すごく速いですね。100㍍何秒ぐらいで走れるのですか?」。タイムなど計ったことが無かったので答えられなかったが、自分が何秒で走れるのかが知りたくなり、50歳で滋賀マスターズ選手権大会50~54歳の部に出場した。結果は100㍍13秒1だった。
スタート前の緊張感と競技場を駆ける爽快感が忘れられず、翌年、大阪マスターズ記録会に出場。ところが、タイムは13秒2と振るわず、ショックを受けた。インターネットや本で練習方法を調べ、独学で練習を開始。 休日は近所の坂道や湖岸を走り、平日も身体を動かそうと考え自転車通勤に切り替えた。効果は徐々に現れた。全日本マスターズ大会で17、18位からのスタートだったが、その後は表彰台の常連となった。 55歳で12秒17の自己ベストを記録し、その年の全日本マスターズ愛知大会で100㍍、200㍍とも優勝。眠っていた才能が一気に花開いた。
4年前、尻や足の先がしびれて急にかがめなくなった。検査の結果、脊柱の中を走る神経が圧迫され足などがしびれる「腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)」と診断され、休養を余儀なくされた。 医師の指導で少しずつストレッチや体幹トレーニングをして2カ月ほどで走れるようになった。 その後は全日本マスターズ大会で100㍍と200㍍の連覇記録を順調に伸ばし、2014年9月には岩手県での第18回アジアマスターズ大会に出場。追い風とはいえ、100㍍12秒21、200㍍25秒69のタイムで優勝し、リレーでも優勝した。全日本大会も兼ねた大会だったので100㍍と200㍍の6連覇も達成した。
2012年に「らんクラブ」を設立し、和邇(わに)小学校で子どもたちに走る楽しさを教えている。びわこ成蹊スポーツ大学の講師と一緒に、35歳以上の人を対象とした、主に全力疾走のための講習会も開いている。 「走ることがこんなに楽しいと思いませんでした。100㍍走るだけなのにいろいろな局面があり、奥が深いスポーツです。大会に出るたびに友達が増え、ここ数年で全国に200人以上は顔見知りができました。年齢に適した練習をすれば高齢者でも短距離走を楽しめます。全力で走るのは気持ちが良いのでぜひ挑戦してほしいですね」 2014年2月に滋賀県民スポーツ賞を、秋には3回目の大津市スポーツ賞をそれぞれ受賞した。夢はこのまま連覇を続けることと、2015年8月にフランスのリヨンで開かれる世界マスターズ大会でメダルを取ること。 何かを始めるのに遅すぎるということはないということを大江さんは教えてくれる。 (取材・鋒山)
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