ピアニスト 久間あゆみ(きゅうま あゆみ)さん(守山市在住)
近畿の教育現場で研鑽を積んできた久間あゆみさん。中学・高校の授業では、音楽以外の話題を織り交ぜた講義を行って音楽に興味を持つ生徒を増やした。現在は久間さんが主宰するピアノ教室に通う子どもたちに、レッスンとは別に「小さな学校」を開いて算数や国語なども教えている。4月7日のリサイタルでは「生と死」をテーマに、自分と同じ年齢で早世したシューベルトの晩年の作品などを演奏する。
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近畿の教育現場で研鑽を積んできた久間あゆみさん。中学・高校の授業では、音楽以外の話題を織り交ぜた講義を行って音楽に興味を持つ生徒を増やした。現在は久間さんが主宰するピアノ教室に通う子どもたちに、レッスンとは別に「小さな学校」を開いて算数や国語なども教えている。4月7日のリサイタルでは「生と死」をテーマに、自分と同じ年齢で早世したシューベルトの晩年の作品などを演奏する。
子どもの頃からピアノの先生になることを夢みていた。石山高校音楽科を経て、同志社女子大学へと進学。演奏だけでなく指導法を学ぶため、卒業後、滋賀大学大学院教育学研究科音楽専修に入学した。大学院では教員を目指す学生にピアノの指導をするTA(ティーチングアシスタント)を経験。1人5分程度で10人前後の学生に教える。週2回、2年間で80人近くの学生を教えた。個々に応じて弾く箇所を定めて弾いてもらう。難しい指導だったが、教えることの楽しさを感じた。ピアノの演奏も続け、かやぶき音楽堂デュオコンクールのファイナリストにもなった。卒業後は県内の公立中学で音楽講師として務めたが、「もっと音楽について学びたい!」と思い、勤務と並行し大阪大学大学院で科目等履修生として1年間音楽学の研究を続けた。
「中・高の音楽の授業では、音楽に興味を持たせることに苦労しました。『夏目漱石はショパンが好きだった』『ドビュッシーは葛飾北斎の絵を好んでいた』など、音楽に関連した芸術全般の話もしました。そうすると授業中にうつぶせで寝ていた生徒が顔を上げるようになったり、合唱の内容がよくなったりして、辞める直前の卒業式では『今までで最高の合唱だった』と職員から嬉しい言葉もいただきました」
「ピアノの演奏には音楽以外の勉強も必要」と久間さん。ピアノ教室に来ている生徒の中から希望者に「Kleine Schule(ドイツ語で『小さな学校』)」を夏休みなどに開講して、1時間半から2時間生徒が選んだ科目を一緒に勉強している。
「音符や休符、拍子など必ず数字がからんでくるので、算数が苦手だと自分で楽譜を読むことが難しいです。歴史の勉強も必要。曲が持つ雰囲気や特性を演奏で表現するためには、このフランスの作曲家はどういう時代に生きたかなど、曲が生まれた背景を理解し表現する『曲想表現』がとても大切なのです」
公立中学で激務が続き二十代半ばで十二指腸潰瘍になった。それでも休職せずに大阪大学での研究、同志社香里高校の講師や自宅でのピアノ教室を同時にこなした。結婚を機に義務教育の現場からは離れたが、自宅でのピアノ教室や大阪音楽大学付属音楽院さくら夙川校、さらに今春より奈良保育学院のピアノ講師に着任し、音楽教育に関わり続ける。演奏する姿を子どもたちに見てもらうことで何かが伝えられたらと、4月7日(日)守山市勝部のスティマーザールで「生と死」をテーマにリサイタルを開く。シューベルトは自分と同じ年齢の31歳で亡くなっており、亡くなる1年前に書いた曲には病気がちだったシューベルトの独特の時間感覚、憤り感や不安感が表現されているように感じるという。
「色々なことがあった中で、自分は今こうして生きている。音楽を続けてきたからこそ切り拓けた道があり、そこで出会って繋がることができた人たちがいます。美しい音楽を聴くと辛いことも癒されます。音楽には人を元気にする大きな力があります」
(取材:2019年3月 鋒山)
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