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甲賀市水口町で大規模農園「るシオールファーム」を運営する今井敏さん。併設する農家レストランでは朝採り野菜を使った創作料理を提供し、直売店では珍しい野菜も取り揃える。若いころバイク屋になることを夢見ていた今井さんは今、「きれいな水と良い土壌、朝晩の激しい寒暖差がもたらす甲賀地方の米や野菜は抜群に美味しい。たくさんの人に味わってほしい」と笑顔で話す。
若いころは車やバイクが大好きで、JA（農業組合）の車両センターで仕事をしていた。25歳で結婚し、妻 富紀美さんの父親（現・るシオールファーム会長）が農業をしていたので繁忙期は手伝うこともあったが、農家の裕福なイメージと農業には夢があると次第に思えてくるようになった。
1993年、会社を退職し就農を決意したものの、泥だらけになりながら雨の中でもカッパを着て農作業をする農家の苦労を改めて知った。義父からは「俺の言うことを黙ってしたらいい」と言われ、なぜ肥料を増減するのかなどの農業知識は教えてもらえなかった。
言われてする農業でなく間違ってもいいから自分の判断でやってみたかった。米の価格は1993年をピークに下がり続け米作りだけでは生計が立ち行かない。米だけに頼るのでなく、小麦・大豆の生産を恐る恐る提案すると、義父は「やってみるか」と言って任せてくれた。
29歳のとき市内の若手農業経営者と共に小麦・大豆を請け負う「(有)共同ファーム」を立ち上げ取締役社長に就任。その後39歳で農園「(有)るシオールファーム」の社長に就任したが、就農時70ヘクタールだった農地はいつの間にか115ヘクタールのメガファームになっていた。
「面積を増やして収穫を増やすことがゴール」だった目標が、「高品質なものを作って直接お客様に売るのがゴール」に変わっていった。
田んぼの片隅に直売所を設け、新米の時期に合わせて朝収穫した採れたていちじくを並べると飛ぶように売れた。
「果物と一緒に野菜も並べ、お客さまに野菜の話をすることもあります。冬が旬のほうれん草は鉄分が夏の20倍。栄養も味も違う。夏野菜は体温を下げ、冬野菜は体温を上げます」
2018年には直売所を別棟に建て、農家レストラン「べじらいす」を併設した。レストランをすることが夢と話していた富紀美さんの夢を叶えてあげたい気持ちもあったからだ。野菜ソムリエの資格を持つ富紀美さんや農家の主婦がスタッフとなり、旬の野菜を美味しく調理したレストランメニューは大好評。平日でも客足の途絶えることがない。
現在、米や果物以外に約50品種の野菜を生産しているが、ほとんどの野菜は専門の知識を持った息子たちや若いスタッフが育てている。
昨年若手社員ら６人で子会社「ろっぽ」を立ち上げ、今話題の「アイメックトマト」を生産している。アイメック栽培は土の代わりに特殊フイルムを使い、コンピュータ制御で極限まで水を制限してうまみと甘みを凝縮させる栽培技術だ。今後設備を今の5倍に拡大する計画という。
「自分は29歳から共同ファームの社長になり、その後の10年で経験したことが糧になっています。息子たちにも経営の勉強をさせ、お客さまに喜ばれる100年企業を目指したい。数時間前まで土の中だった朝採り野菜をランチとして出せるのはこの土地でしかできません。滋賀は近畿最大の食の供給県。美味しいものを食べに滋賀に来てください」
●お問い合わせ
(有)るシオールファーム
滋賀県甲賀市水口町北脇1901番地
TEL：0748-63-8851
Farmers Kitchen Vege Rice -べじらいす-
●住所：甲賀市水口町北脇2381-2
●TEL：0748-63-8852
●営業時間：11:00〜15:00(LO14:00) マルシェ9:00〜18:00
●定休日：水曜日※最終週のみ火曜、水曜日
●駐車場：50台
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2024年11月22日
2024年11月1日
