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近江商人の格言「三方よし」が生まれた東近江市五個荘で、子育てスタジオを運営する石田ふみえさん。自身の子育て経験を活かしたユニークなカリキュラムは、産前産後のママさんの圧倒的な支持を得て教室の予約が取りづらいほどの人気だ。
石田さんは28歳の時、最愛の夫を病気で亡くした。同じ敷地の別棟に両親は住んでいたが、祖父母の入院や介護が重なり頼ることはできなかった。3歳に満たない子どもを保育園に預けて働きに出ていたが、朝から晩まで仕事と育児に追われうつ状態に陥った。
「あの頃は暗黒期でした。育児をした記憶すら思い出せません」と石田さんは振り返る。落ち込んでいた自分に地域の人たちからの温かい声掛けが大きな励みになった。
中学、高校とソフトボールの選手として活躍していた石田さん。県立八幡商業高等学校時代の恩師、辻井美惠子先生に今の状況を打ち明けソフトボールをしてみたいと願い出ると、快く放課後や土日のグラウンド使用を認めてくれた。約1年間後輩らに交じって気を紛らしながら自分を奮い立たせた。
「そうだ！産後のお母さんに役立つ仕事をしよう」
家でできることはないか、自分には何ができるかをいつも考えていた石田さん。産後一人ぼっちで辛い思いをしてきたが、きっと同じ悩みを抱えるお母さんはたくさんいる。石田さんは日本ママヨガ協会に通って産後ヨガ養成講座を受講し資格を取得した。
2013年、自宅のリビングを使って産後ヨガ教室をオープン。たった一人の生徒から始まった。フリーペーパーなどを駆使して生徒集めに奔走。徐々に評判は広がり、能登川や八日市、五個荘に教室を開くまでになった。一緒に働いてくれる仲間もできた。忙しい合間を縫って、大阪の全米ヨガアライアンス認定校などへ半年間ほぼ毎週日曜日通うなどして、スキルアップも図った。
2017年1月、念願だった自前のスタジオを生まれ育った五個荘にオープンした。レッスンのあと親子でランチ会もできるようにとキッチンを併設したり、ベランダからそのまま教室に入れたり、石田さんならではのアイデアが詰ったスタジオだ。
現在6名の講師がそれぞれの担当を担っているが、みんな石田さんの明るい人柄と優しさに引き寄せられた先生ばかりだ。
今年5月にはシニア向けに介護予防運動を盛り込んだ教室を、10月には子育てでもシニアでもない、疲れを癒すためのヨガ「キャンドルヨガ」教室を始めるという。
「地元の人はじめ、多くの人たちに励まされ助けられてここまでこれました。地元への恩返しのつもりでこれからも頑張ります」
（取材・髙山）
●お問い合わせ
子育てスタジオ PIECE
滋賀県東近江市五個荘簗瀬町350
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2024年11月22日
2024年11月1日
